00542_仮処分利用のポイントと注意点

辞めた役員が、起業し、持ち出した顧客リストを利用して、競業を始めた場合を例にとって民事保全処分の具体的利用方法を考えてみます。 普通に、上記のようなトラブルに遭遇すれば、「競業してはならない」とか「持ち出した顧客名簿を使うな」等を求める裁判を提起することが考えられますが(そもそもそういう権利があるのかという問題について...

00541_裁判外交渉(示談交渉)をマネジする上での注意点

弁護士を付けて、内容証明郵便による通知書を相手方に送付し、相手方も弁護士を付けてこれに応答し、裁判外交渉が開始される場合があります。 裁判外交渉においては、注意点があります。 裁判外交渉と裁判の違いは、1 相手方の対応による解決が長引く可能性があること2 不調の場合時間が無駄になることです。 すなわち、裁判になると、だ...

00540_相手方の属性・心理的状況や経済的状況を勘案した紛争法務戦略構築テクニック

紛争法務戦略構築は、法律知識だけでは対処できないもので、相手の心理や状況に対する想像力の豊かさがポイントになります。 この手のノウハウは、無論、東大法学部でも司法研修所でも教えてくれるわけでもありませんし、法廷にあまり縁がなく行政書士みたいな仕事だけで食べておられる予防法務専門弁護士の方々も、ひょっとしたら、あまりご存...

00539_内容証明郵便による通知書作成・出状のポイントと注意点

紛争法務を実施する上で、いきなり訴訟を提起するのではなく、たいていの弁護士は、まず内容証明郵便による通知書を送ることを行い、裁判外交渉による解決を模索します。 内容証明郵便とは、いつ(確定日付)、だれが、だれに、どんな内容の文書を出したかということを、郵便局が証明してくれる郵便で、後日の紛争の証拠として非常に役立つもの...

00538_訴訟戦略の組み立て方:現実的なゴールの設定

訴訟戦略を立てるには、現実的なゴール設定が必要です。 どんなに緻密な戦略もゴールの設定を間違えてしまうと、あり得ないゴールを追い求めて無駄で非効率なことを永遠に続ける結果に終わります。 例えば、退職した従業員が独立して競業行為を始めた場合などでは、「ノウハウや顧客リストの使用や従業員の引抜き問題について、従業員側が確立...

00537_一流の企業は、紛争が生じたら、「勝訴を目論む」前に、「『紛争発生自体』を失敗と捉え、猛省し、予防法務に活かすこと」に注力する

きちんとした合意書を作らないまま、相当程度のリソースをつぎ込んでビジネスを進行させ、失敗してロスが出た途端、「先生、友達の社長のAからの紹介で来たんだけど、裁判に強いんだって? 弁護料たんまり払うから、なんとか落とし前つけてやってよ」なんて感じのお客さんがたまにいらっしゃいます。 こういうお客さんに対して「私もこんな奴...

00536_判決にまでもつれ込むのは、訴訟上の和解交渉の失敗

よく、企業経営者で、「ウチの顧問弁護士はすごい。先生は非常に優秀で、この先生に頼んで負けたことがない」と自慢される方がいます。 ですが、ある程度優秀な弁護士は、皆、・ 判決にまでもつれ込むのは、訴訟上の和解交渉の失敗であり、・ 訴訟にまでもつれ込むのは、裁判外交渉の失敗であり、・ 裁判外交渉にまでもつれ込むのは、予防法...

00535_辞めて競業しそうな人間に「鈴をつける」ための手法

有能な人間を自社で囲い込む方法のひとつに、彼(彼女)を取締役に選任してしまうという裏技があります。 取締役になると、会社との関係は、労働基準法でなく、商法により規律されることになります。 そして、取締役は、会社に対して、「善管注意義務」「忠実義務」という非常に重い責任を負うことになり、これに違反すると会社法違反として損...

00534_辞めそうな気配の従業員に対して、土壇場で、何とか競業禁止や守秘を約束させるコツ

土壇場で競業禁止や守秘を約束させるコツについて、考えてみます。 退職の際には、給料の精算や退職金の支払いの問題が発生しますので、ここが契約を交わす最後のチャンスになります。 辞めそうな従業員との契約が労働契約の場合、すでに法律上明確に発生している給与支払いを強引に留保すると、労働基準法の全額払原則との問題が生じますが、...

00533_いつ守秘義務や競業禁止を記した誓約書を徴求したり契約書を取り交わすべきか?

守秘義務や競業禁止を記した誓約書を徴求したり契約書を取り交わすのは、早ければ早い方がいいです。 可能であれば、試用期間開始時に徴求あるいは取り交わしをし、かつ、署名拒否等をした場合に本採用拒否にできるよう、採用内定時に、その旨告知しておいた方が安全でしょう。 採用時(試用期間開始時)のタイミングを逃した場合ですが、早け...