00491_約款方式の取引構築において、約款が法的に無効と解釈されるリスク

消費者のハンディキャップ解消策の1つに消費者契約法10条があり、「消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、・・・消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」と定められています。 どのような場合が「消費者の利益を一方的に害するもの」にあたるかはケースバイケースですが、生命保険契約約款...

00489_会社分割による事業承継後、「施設名称」を継続使用した場合のリスク

会社分割の場合について、クラブの名称を続用した預託金会員制ゴルフクラブの事業を承継した企業が、預託金を返還する義務を負うか否かが争われた最高裁判例(最二小判平成20年6月10日)があります。 最高裁判所は、預託金会員制のゴルフクラブにおいて、その名称は、ゴルフクラブ自体だけでなく、ゴルフ場の施設やこれを経営する会社をも...

00488_事業譲渡後も「商号」を使い続ける場合に行っておくべきリスク回避措置

ある会社の事業を譲渡するのに、事業とともに「商号」も譲渡する場合、「事業を譲り受ける側」には、原則として「事業を譲渡する側」の事業によって生じた債務を負担する義務が生じます(会社法22条)。 これは、会社の合併等の場合と異なり、事業譲渡においては元の債権者の債権を確保する手続がないため、「債務者側の一方的都合で、ある日...

00484_辞めた取締役が競業をした場合の対抗策はあるのか?

株式会社の取締役は、会社との間では委任関係(会社法330条)にあり、会社に対し、善良な管理者の注意義務(善管注意義務、民法644条)及び忠実義務(会社法355条)を負っています。 すなわち、「会社は、取締役を経営の専門家として信頼して業務執行を任せているのだから、会社の利益になるように忠実に働かなければならない」という...

00481_「地位を特定した(中途採用者の)雇用契約の解雇」を行う場合の具体的進め方

判例・裁判例の考え方ないし傾向を踏まえる限り、中途採用者の解雇は比較的認められやすい、とされています。 しかし、これがあてはまるのは、「企業が被採用者に期待する能力」が契約上明確になっている場合です。 逆に、採用者の側で販売成績の向上などの目的が記載された書面等がなく、被採用者が努力することを約束した程度の抽象的なやり...

00477_「不当な」抱き合わせ販売(一般指定10項)の認定手法

「抱き合わせ販売」とされる独占禁止法上の要件についてですが、まず、行為要件として、別個の商品やサービス等の役務を併せて購入させることが必要です。 そして、問題になるのが、一般指定第10項にいう、「不当に」の解釈です。 これは、買主の商品選択の自由を侵害することや、能率競争の阻害をいうとされていますが、抽象的な要件という...

00471_商標権取引の具体的方法

「商標」とは、商品を購入しようとする人やサービスを受けようとする人に対し、その商品・サービスを「誰」が提供しているのかをはっきりさせるために、業として当該商品やサービスなどに付けるマーク(文字、図形、記号、形状など)をいいます。 このような商標について第三者が勝手に利用すると、商標権者の信用を害するばかりか、その商標を...

00470_民事訴訟弁護活動の実際:訴訟弁護士の戦略思考や活動戦術の具体的内容

弁護士は、「明らかに事実に反するウソはつく」ような品のない真似はしません。 しかし、・クライアントにとって有利なことは大きな声で述べ、・クライアントにとって不利な事柄は黙っている(あるいは、言い換えや抽象度の高い表現を使って、目立たなくする)ということはします。 何か、姑息で卑怯でインチキなことをしているように聞こえる...

00469_採用内定検討にあたっての調査の自由

企業には、採用する、採用しないの自由がありますが(採用の自由)、前提として、採用を判断するための情報を入手することも、原則として自由であると考えられております(調査の自由)。 例えば、三菱樹脂事件最高裁判例は、「採用にあたって、思想や信条といった、人の能力には関係がない、内心的なことを調査し、調査の結果を理由に採用を拒...

00467_就業規則に降給規定がない場合、降給は可能か?

多くの「就業規則」は、「昇給」に関する規定(昇給のための査定方法、昇給額の決定方法、時期など)についてはしっかりと定めているようですが、給料の額を減額する意味の「降給」については、あまり規定していない場合があるようです。 もし、「降給」の規定がないにも関わらず、雇用者が一方的に「降給」してしまった場合、「賃金を引き下げ...