01762_公式Webサイトや社内イントラに他社サイトの写真・画像、書籍・文献の文章や図表を利用する場合、著作権等の関係からどの程度、承諾を得なければならないのでしょうか?また、承諾を得るための基本的な手続き、ルールがあるのでしょうか?

写真、画像、書籍、文献の文章、図表が
「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
という著作権の定義に当てはまれば、それを公式Webサイトや社内イントラで利用する行為は、公衆送信となり、著作権侵害リスクのクリアランス(権利処理)が必要となります。

引用にとどまるのであれば、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものである限り、著作権法上、許容されます。

上記引用の要件を充足しない場合には、著作権者の許諾が必要となります。

著作者の許諾に関する手続き、ルールは特に定められておりませんので、必要に応じて許諾を得ることになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01761_公式Webサイトや社内イントラに他社サイトへのリンクを貼る場合、著作権等の関係からどの程度、承諾を得なければならないのでしょうか?また、承諾を得るための基本的な手続き、ルールがあるのでしょうか?

前提として、リンクの方式により、法的な評価が異なってきます。

1 法的に問題が生じうるグレーなリンク方式と、ホワイトなリンク方式

この場合のリンクの方式とは、
「通常のリンク」方式

「インラインリンク」方式
です。

「通常のリンク」とは、
リンクを貼っているサイトの閲覧者がリンク先に飛ぶ際、当該閲覧者がクリック等、一定の操作を必要とする方式のリンクです。

「通常のリンク」方式の場合、
故意にリンク先の人物の名誉を毀損するような形態でなければ、法的問題は発生しないと考えられます。

もちろん、一言断っておくのが常識的対応でしょうが、法律問題といより、ビジネス上、ネット上のマナーの問題といえます。

「インラインリンク」
とは、閲覧者の操作を必要とせず、自動的にリンク先のウェブサイトに飛ぶリンク方式です。

「インラインリンク」方式の場合、
トリミング等の行為が介在することとも相まって、著作権の問題が生じやすいですし、リンク先とリンク元が同一の営業主体と誤認させる可能性があり、誤認混同の不正競争防止法違反の可能性があり得、リンク先のロゴを使用したとして、
商標法上の「使用」
に該当し、商標法違反の可能性もあり得ます。

したがって、やり方によっては、法的問題が生じ得ます。

2 社内イントラネットであっても、多数を対象する場合は、インターネットと変わらない配慮が必要

公式Webであれ、社内イントラネットであれ、どちらも公衆送信していることに変わらないので、
「社内で、身内に対して発信しているから大丈夫」
という理屈は通用しないと考えられます。

東京地裁判決平成20年2月26日は、社内イントラについても公衆送信権の侵害に該当すると判断しています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01760_2時間で丸わかり!M&A実務・M&A法務の体系と全体構造と基礎

企業法務を担う弁護士の先生方や、企業の社内弁護士や法務担当者方向けのコンテンツです。

セミナー開催した当時のものですが、満足度評価平均は、4.4点(5点満点中)でした。

寄せられた感想としては

「実践的で分かりやすかったと思います」

「M&Aという難しい分野を楽しく解説してもらい、よかったと思ます」

「実務的な内容が非常に役立つものでした」

「面白くためになりました。より具体的な話も聞いてみたい、と思います」

「実際のクライアントとの関係性についても聞けたのは、とても良かった」

「普段聞けない実務を意識した内容に非常に勉強になりました!」

「大変わかりやすく貴重なお話をうかがうことができました」

「セミナーの参加目的が達成できる講義でした」

「企業法務の全体像からM&Aを説き起こしていただきとてもわかりやすかったです」

「M&Aの全体像がよくわかった。弁護士としてかかわるポイントもよくわかった。できれば費用は高くとももう少し長い時間あると良かったと思う(3~4hくらい)」

「どう仕事に結びつけるか、また報酬をどうとるか、という点をご教示いただき、とても参考になりました」

「大変分かりやすく『結局なんだ』という疑問が解決できました。DDが“値切りネタを提供するもの”という意識がないままこれまで関与していたので認識を新たにしました。どうもありがとうございました」

「前半1hは冗長だったが、後半1hはとてもよかった、ジョークはいらないと思います」 「とてもわかりやすいお話で面白かったです。冗談を交えながらお話していただいたので、とっつきやすく、あまりM&Aの知識がまくてもポイントを押さえられました」

「今後の顧問先へのアドバイスのヒントを得られました」

「もう少し時間が長い方が良い」

「強いて言えば、DD項目ごとのもっと具体的事案、エピソードを交えた話や、注意点が知りたかった」

「色んな話がきけておもしろかった」


と、概ね高評価をいただいております。

使用テキストは、レジュメ(講義資料)です。

レジュメなしでも十分ご理解いただけると思いますが、レジュメがあった方がよりよく理解できるかと思います。

レジュメは、チャンネル登録者の方に限定して、送付実費と処理手数料として1,100円(税込)のみ頂戴してPDFをメール送付する形で提供させていだいております。

レジュメご希望者は、
https://www.tetsumaru.com/form/contact/index.html
を用いて、
1)メッセージ分類「その他」のタブをご選択いただき、
2)お問い合わせ・お申込内容に 「企業法務大百科チャンネルのチャンネル登録者です。”2時間で丸わかり!M&A実務・M&A法務の体系と全体構造と基礎”のレジュメを購入します。送付実費と処理手数料として1,100円(税込)をご指示に従ってお支払いいたします」 と記載(コピー&ペーストで結構です) してご連絡ください。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01759_3時間で丸わかり!企業法務の体系と全体構造

企業法務を担う弁護士の先生方や、企業の社内弁護士や法務担当者方向けの動画です。

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01758_「社内のスキャンダルが、ネットで取り沙汰され、話題になっています。どうやらスキャンダル自体は真実のようなのですが、どのような対策が可能でしょうか?」

スキャンダルによって、企業に何らかのリスクやダメージが生じているならば、ネット上で延焼し、拡散してしまわないよう、鎮火させるべきと思います。

スキャンダルといっても、従業員のプライベートに関するものから、企業(法人)の事業に関わるものまで、幅広く想定されます。

特に、従業員のプライベートに関するスキャンダルについては、
1 何を、
2 誰に対して、
3 どういう方向でのメッセージを発信するのか(謝罪するのか、非難するのか、不快感を表明するのか、残念や遺憾というセンチメントを表明するのか)、
4 企業の正式ホームページ等にて発信するのが適切な発信場所、発信方法といえるか、
などを検討することも重要となります。

ところで、
「真実のようなのですが」
という切れ味の悪い言い方になっており、その意味では、何らかのアクションをする前に、一応、自主的に事実を調査する必要があります。

調査をするといっても、身内の人間が発表しても世間はその調査の信憑性に疑問を持ってしまうため、調査の独立性、客観性を担保させるため、第三者委員会という形式で調査を遂行することも検討すべきです。

なお、純粋にプライベイトなスキャンダルであり、そもそも企業として関わりをもつことを忌避すべき場合、ネットスラングで言う
「華麗にスルー(あえて黙殺)」
して、スキャンダルが
「75日経過して消失する」こと
を受動的に待つ、という戦略も検討すべきです。

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01757_「社内報および社内イントラネットでの、新聞記事の引用をしたいのですが、新聞社への記事引用の許諾を取る必要はあるでしょうか?社長が露出した新聞記事の切り抜きをスキャンして引用したいだけなのですが、それでも許諾の必要はあるのでしょうか?」

新聞報道に関してですが、
「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」
は言語の著作物に該当しないと著作権法10条2項に規定があります。

他方、日本新聞協会は1978年5月、 
「最近の紙面における記事は背景説明の伴った解説的なもの、あるいは記者の主観、感情を織り込んだ記事が多く、紙面構成も高度な創意・工夫がはかられており、、独創的な紙面づくりが行われているのが実情である。したがって報道記事の大半は、現行著作権法に規定される著作物と考えるのが適当である」
との見解を示しています。

「記者の主観、感情を織り込んだ記事が多く」
「高度な創意・工夫」
などといわれると、
「それって、捏造記事であって、報道ではないんじゃないの?」
とツッコミたくなります。

そもそも、著作物って、
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
ってことですから、事実を正確に報道する新聞記事に、思想や感情や創作が入ってはアカンやろ! ということにならないんでしょうか。

例えば、ある記者が、事実ではないにもかかわらず、
「(ある日本の方が)2回ほど朝鮮半島に出かけ、“朝鮮人狩り”に携わった」
などと記述したり、同様に、
現地で警官とともに若者100人を集め、労働力として日本へ送り、抵抗する者には暴力を使ったとする証言を紹介したり、
といった創作した虚偽の記事を書いて、これがある新聞社が新聞に掲載したとします。

もちろん、上記の
「お話」
は、正確な事実の報道ではなく、それこそ、
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
なんでしょう。

ちなみに、この記事、
「創作性に満ちた著作物」
としてはさておき、報道としてはウソということが判明しちゃいました。

「創作性に満ちた著作物」
を事実の報道として公表した某新聞社は、記事全文を取り消し、掲載したことをおわびしておられます。

そういう意味で、あとで誤報として撤回して謝罪するような
「創作性に満ちた著作物」
としてのウソの記事であれば格別、まともな新聞報道は、事実を報道するでしょうから、
「新聞記事が『創作性に満ち満ちた著作物』である」
ともとれる日本新聞協会のご主張は、私としては、いまいち意味がわかりません(「新聞記事が、創作性に満ち満ちた、いってみれば、事実と程遠い、ウソが介在している」という前提なら理解できるお話ですが、ほんま、ようわからん話ですわ)。

このあたりは、大人の事情があるのでしょうがが、いずれにせよ、日本新聞協会の言っている内容は、法律家として読解する以前に、日本語として意味不明なので、私としては、理解を放棄し、ノイズとして捨て置きたい、と思います。

いずれにせよ、日本新聞協会の混乱しまくっているとしか評価し得ない話は放置・無視・軽視せざるを得ず、これをさておいて、法律解釈として客観的に考えます。

新聞記事で言いますと、
1 見出し
2 写真、
3 事実摘示部分(5W2H〔howとhow much〕)
4 観測や推測や解釈や評価といったコメントが掲載されている部分
とに分けられると考えますと、
「3 の事実摘示部分(5W2H〔howとhow much〕)」
については著作権が生じないと考えられます。

他方で、
「1 見出し」「2 写真」「4 観測や推測や解釈や評価といったコメントが掲載されている部分」
については、
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
という著作物性要件を充足している限りにおいて、著作権の問題が生じる可能性がある、という言い方になります。

言い方を変えれば、
「新聞社が制作したから、すべてにおいて、創作性がある」
というのは早計であり、新聞社が創作した
「1 見出し」「2 写真」「4 観測や推測や解釈や評価といったコメントが掲載されている部分」
であっても、創作性のかけらもない、つまんない、陳腐なものであれば、著作物性が否定されることはあろう、と思います。

私個人の感覚であれば、一般の新聞の見出しは、あまり創作性を感じませんが、
「飛ばしの東スポ」
で著名な東京スポーツ新聞の見出しだけは例外です。

「マイケル、なめんとのか」
「マドンナ痔だった?」
「落合家(中略:男性器を意味する言葉が書かれています)丸出し放送」
「聖子輪姦」
「人面魚重体脱す」
「大仁田爆死」
「フセイン米軍に(中略:男性陰部の疥癬症を意味する言葉が書かれています) 大作戦」
「ダイアナ大胆(中略:女性の胸部を意味する言葉が書かれています)」
「阪神次期監督上岡龍太郎」
「宇宙人化石発掘」
「ネッシー出産」
「UFO大群、八王子に出現」
「宇宙人、ついに銚子を攻撃か」
「電線に止まったUFO」
「指原UFOおっかけ」
「前田敦子ヌード」
「今井絵理子議員(中略:下着を装着しない状況を意味する言葉が書かれています) 疑惑」
「広瀬すず、プロレス参戦」
といった、東スポ1面を飾った見出しは、ぶっ飛んだ
「創作性」
があり、品位は別にして、間違いなく、圧倒的な創作性が顕著にある、ど真ん中の
「著作物」
です(※これらの見出しの下には小さく、「?」「か」「も」「説」「絶叫」などの語句・記号が書かれ、うまいことお茶を濁しているのですが、この「お茶濁し」の見出し部分については、売店や新聞スタンドに陳列されるときには、折りたたんでいるので隠れいて、全体として、「見出しがあたかも事実であるかのように見える」という巧妙な計算を働かせています)。

以上のような著作物性の議論についてクリアして、引用をしようとしている新聞記事に著作物性が認めれる場合、社内報における論評のための引用という形式(著作権法32条)が認められない限り、当該新聞社の許諾を得る必要が出てきます。

なお、
「引用」
といえるためには、
1 他人の著作物を引用する必然性があること
2 かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること
3 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)
4 出所の明示がなされていること
といった要件充足が必要です(著作権法48条)。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01756_「ネット上の特定の書き込みに対し、プロバイダに削除依頼を行うことは可能です か、または直接担当者が投稿者にコンタクトをとることは可能ですか?」

「言うだけタダ」
ではないですが、もちろん、削除依頼をすることは随意です。

ただ、削除してくれるとは限りませんし、むしろ、削除しない蓋然性の方が高いと思われます。

ネット上の掲示板は多様な意見があることを前提に商売を成り立たせており、また、問題のある投稿であってもそれで人集まりアクセスが稼げるのであればむしろビジネス的にはウェルカムですから、掲示板運営者やSNS運営者サイドが削除要求に簡単に応じてくれない場合の方が多いのです。

担当者が直接投稿者にコンタクトを取るには、匿名の投稿である場合、
1 メッセージ機能や投稿機能を使って直接メッセージを発信する
2 掲示板やSNS運営者を仲介者としてメッセージの伝達を依頼する
3 掲示板やSNS運営者に対して投稿者に関する情報の開示請求をする
のいずれかとなります。

そして、
「3 掲示板やSNS運営者に対して投稿者に関する情報の開示請求をする」
は、
1)まず、最初に運営者に開示請求をしますが、まず、ほとんどの場合、任意の開示請求は期待できません。
これは、運営サイドとしては、
「匿名で言いたい放題言わせる」
ことを基礎としてアクセスを稼ぎ、ビジネスを成り立たせるわけですから、発言内容によって匿名性を放棄させ発言者の個人情報を暴露する、ということを安易に行うことは、運営サイドにとっては自殺行為となり、ビジネスが一気に崩壊する危険があるからです。
加えて、 プロバイダ等は、開示請求に応じなくとも故意、重過失がない限りは責任を負わないため(プロバイダ責任法4条4項)開示を拒否するのが通例です。

2)そこで、次に考えられるのは、裁判所に対して、運営サイドを相手方として開示請求を申し立てる、という方法を検討することになります。

投稿者や発言者の情報を保有している運営者やプロバイダ等に、発信者情報の開示を請求する(プロバイダ責任法4条)という手続きです。

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01755_「企業(法人)をM&Aした場合、買った企業(法人)が持っていた個人情報データベースをそのまま利用しても大丈夫ですか?」

個人情報保護法23条4項は、M&Aの場合を第三者提供に該当しない、と定めていますので、利用することは可能です。



個人情報保護法23条4項

次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前三項の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。一 個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合
二 合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合
三 個人データを特定の者との間で共同して利用する場合であって、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき。

ただし、個人情報については利用目的の特定が要求されていますので(個人情報保護法15条)、承継前の企業(法人)の利用目的の範囲内で利用することが必要となります。

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01754_法定文書の法定保存年限管理

企業活動を展開する中で、実に様々な文書が発生します。

メモや走り書きの類から、定款や株主総会議事録のような重要文書まで、その重要性も様々ですが、管理上頭を悩ませるのは、保存期間の管理です。

もちろん、無限の保管スペースがあれば、文書という文書をすべからく管理しておけばいいのですが、企業活動から生じる尋常ではないボリュームの文書のすべてを管理するとなると、莫大な資源が必要になりますし、現実的ではありません。

また、スキャンをして、電子媒体の形で管理しておけばいいのでは? というアイデアも出てきそうです。

しかし、行政手続上の課題対処の文脈においては、法定保存年限が決められている文書は原本管理が原則であり、スキャンした電子データだけでは、法令に抵触するリスクが生じます。

また、司法手続上の課題対処の文脈においても、同様であり、裁判になった場合、証拠として提出する際、原本提示が求められます。

その意味では、行政手続上の課題対処の文脈においては法定保存年限を把握して当該年限管理をして各種法定文書を保存しておくべき必要があり、また、司法手続上の対処の文脈においては訴訟リスクが時効によって消え去るまで
「自らの立場を正当性を証明する文書」
については証拠となる原本を保存する必要があります。

1 法令で法定保存年限が定められている文書についての法令遵守上求められる文書保存年限管理

まず、行政対処上の文脈においては法定保存年限を把握して当該年限管理をして各種法定文書を保存しておくべき場合についてです。

1)企業統治に関わる法定保存文書の保存年限管理

企業統治に関わる法定保存文書の保存年限について言えば、定款や株主名簿等については、特段法律の定めはないものの、永年保存(永久保管)が求められるものと、解されているようです。

たまに、原始定款を紛失した、捨てた、という企業があり、上場する段階になって大慌てすることがあります。

何ともみっともない話であり、そんな管理がお粗末な会社を上場させていいのか、という問題はありますが、救済手法もあるにはあります。

2)労務マネジメント関係の法定保存文書の保存年限管理

労務マネジメント関係の法定保存文書の保存年限管理ですが、労働組合との協定書については、特段法律の定めはないものの、永年保存(永久保管)が求められるものと、解されているようです。

また、クロム酸等の空気中における濃度の定期測定記録についても、特定化学物質障害予防規則36条の2第3項により、30年間保存が義務付けられているほか、労働安全衛生上の文書保存期間は相当長期に及びます。

3)経理・税務関係の法定保存文書の保存年限管理

経理・税務関係の法定保存文書については、長いものでいえば、例えば、
(1)計算書類及び附属明細書(貸借対照表、損益計算書等)は、会社法435条により、作成したときから10年間保存が、
(2)会計帳簿及び事業に関する重要書類(総勘定元帳、各種補助簿等)については、会社法432条により、帳簿閉鎖から10年間保存が、
それぞれ義務付けられています。

3 訴訟リスクを前提とした文書の保存年限管理

訴訟リスクを前提とした文書の保存年限ですが、これは、時効と関連します。

民法改正によって、債権の消滅時効制度においては、消滅時効期間は、原則として主観的起算点(債権者が権利を行使することができることを知った時)から5年又は客観的起算点(権利を行使することができる時)から10年のいずれか早い方とされました。

また、不法行為の消滅時効は、最長で行為のときから20年とされています。

以上を前提とすると、取引関係文書については最低10年、対外的・社会的な影響を及ぼしうる企業活動の記録は最低20年は保存しておくべきことが推奨されます。

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01753_ネットで誹謗中傷され、相手は判明しています。訴訟を進めていく上で、裁判所がどのような対応をするのか、今後行うゲームのロジックやルールや展開予測として知っておきたいと思います。「ネットでみられる勇ましい弁護士さんのセールストーク的なもの」とは違う、「客観性のある有益な資料」はありますか?

「ネットで誹謗中傷され、相手は判明しています」
ということですので、相手は正々堂々と素性を明らかにして名誉毀損しているか、発信者情報開示をめぐる面倒くさい
「索敵」プロセス
が終了し、ようやく決戦に挑める状況構築まで完了した、ということです。

その上で、
「訴訟を進めていく上で、裁判所がどのような対応をするのか、展開予測として、知っておきたい」
ということですが、これは非常に重要です。

ネット空間に漂う、ネット関係事件を生業とする弁護士の皆さんの営業文句を鵜呑みにすると、何だか、
「優秀で有能な弁護士に依頼したら、あっとういう間に訴訟に勝利し、訴訟に勝利したら、しびれるくらいの大金が転がり込んで、大金持ちになれる」
ような気分になれそうですが、これはまったく事実と異なります。

仕事を取るためとはいえ、事実と異なったり、事実にバイアスをかけたりするのは、どうですかねえ、とか思いますが(以下、諸般の事情に基づき、略します)。

まず、
「あっとういう間に解決」
「訴訟に勝利」
という部分ですが、結構時間がかかる場合があります。

こちらに何の落ち度もなく、加害者が一方的に悪く、事実や状況を全面的に認めている、という場合ならともかく、相手が、表現の自由を持ち出して違法性阻却を言い出したり、損害がないとか争ったりしたら、平気で年単位かかります。

そして、年単位かかった挙げ句、無残に敗北し、カネと労力に加え、メンツまで失う、なんて事例、ザラにあります。

例えば、こんな事例があります。

【事件番号】 東京地方裁判所判決/平成13年(ワ)第15800号
【判決日付】 平成16年1月26日
【判示事項】 インターネット上の公開のホームページ内に設置された,電子掲示板に「ワケわからん」「メチャメチャ」「妄想」「つきまとい」「ストーカー」「低脳」「頭がおかしい」などの中傷する表現を行ったことにより,名誉を毀損されたとする損害賠償請求を認めなかった事例
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載

この事例が示唆するものは、
・「ワケわからん」「メチャメチャ」「妄想」「つきまとい」「ストーカー」「低脳」「頭がおかしい」などとネット上で誹謗中傷された
・賠償金400万円や謝罪文掲載を求めて、平成13年(2001)年に訴訟を提起した
・当然ながら、相応に弁護士費用がかかり、かつ少なくとも2年以上の時間と、弁護士が出す「宿題」を提出するなどの労力を要した
・挙げ句の果て、訴訟に負け、カネと労力に加え、メンツまで失った(「妄想」「低脳」「頭がおかしい」とまで言われて救済を求めたのに負けた)
という悲しい現実が起こり得る、ということです。

また、仮に勝訴しても、そんなに景気のいい賠償金は出てきません。

実際は、慰謝料50万円未満が41%、100万円未満でも69%となっています。

ほぼ7割が100万円未満しか取れない事件に関わる弁護士さん、着手金いくらで、報酬金いくら請求されるのでしょうか?

こんな事件に、着手金150万円払うなら、
「1万円札を1万5000円で買っている」
ような、
「経済的には」
むちゃくちゃ愚劣な行為をやらかしている、ということになります。

もちろん、

「『事件を放置することは、クライアントの尊厳や体面やアイデンティティが不可逆的に毀損され、クライアント個人としての内部人格均衡ないし情緒安定性や、クライアント法人としての組織内部統制秩序に対して、不可逆的な混乱・破壊・崩壊をもたらしかねず、また『やられてもやり返さないと、そういう組織ないし人間と見下され、以後、やられっぱなしにされたり、際限なき譲歩を迫られたりして、生存戦略上致命的な不利を被る』というより大きな損失を発生する危険が見込めるため、巨視的・長期的・総合的に熟慮の上、事件の成否に関わらず、事件単体の局所的経済不合理性があっても、弁護士費用をかけて事件を取り組むことそのものが、全体的・総合的・長期的に、十分な経済的メリットをもたらす』との理性的かつ合理的判断の下、クライアントが理解納得し、弁護士法人の強い警告や遠慮と謙抑からの忌避に関わらず、本費用の取り決めに基づく依頼を強く要請する」

などといった事情があるなら、別ですが。

こういうことを考えると、ネット上の弁護士さんのポジショントーク(仕事を得るという利害によりバイアスがかかったお話)というかセールストークに惑わされず、冷静かつ客観的に、しっかりとした資料に基づき、これから営もうとするゲームのロジックとルールと展開予測と相場観を知っておくことは重要であり、
「裁判所がどのような対応をするのか、展開予測として、知っておきたい」
というのは、訴訟というプロジェクトのキックオフ前に事前に行うべきFS(フィージビリティ・スタディ)を履践しようというものであり、実に健全で真っ当な姿勢です。

このような観点から参照すべき有益な資料としては、現段階では、大阪地裁の若手判事補さんが調べてまとめてくださった
判例タイムズNo.1223(2007年1月1日)49ページ
「名誉毀損関係訴訟について-非マスメディア(筆者注:ネットのこと)型事件を中心として-」
が挙げられます。

一般の方や、ビジネスマンの方にはかなり難しく、法務担当者にとっても、ちょっとむずかしいかもしれませんので、社内弁護士や一般の弁護士さん向けかもしれません。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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