00011_トップマネジメント直属の法務関連諮問機関(コンプライアンス委員会等)の法的位置づけ

トップマネジメント直属の法務関連諮問機関(コンプライアンス委員会等)の位置づけですが、会社法に特段根拠を持つものではなく、代表取締役や取締役会の私的な諮問機関です。

無論、定款変更により、当該機関の設置根拠を定款に記載すれば、会社の私的自治による任意の法的機関となることもありえます。

この委員会は、高度に専門的な法的論点や取締役会のみが判断すると中立性・公正性に疑義が生じるような事項について、独立・中立の組織の判断を経由することにより、意思決定機関の決定に公正さ・適正さを確保しようとするものであり、代表取締役や取締役会のビジネスジャッジメントを補完する役割をもちます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00010_第三者委員会

第三者委員会の設置は増加する傾向にあります。

2010年9月6日付日経新聞の調べによると、日興コーデイアル証券が有価証券報告書の虚偽記載問題で2006年末に弁護士らで構成する特別調査委員会を設置したことが契機となって、第三者委員会の設置は、2007年を境に急増し、社外の専門家で構成する調査委員会を設置した会社は2006年の5社から2007年は24社に拡大したとのことです。

また、2012年3月23日付株式会社帝国データバンクの調査によると、不祥事や事故などを理由に第三者委員会を設置した上場企業は2007年23件、2008年20件、2009年29件、2010年37件、2011年23件とされています。

他方、このような委員会の設置も、独立性に疑義を呈される場合があります。

会社の主張をなぞるだけの、“お墨付き”を与えるだけの委員会を設置・運営しても、かえって批判を招くだけであり、市場や監督当局(金融庁や証券取引所)に対するアピールに欠けることもあります。

この点、日弁連(日本弁護士連合会)は、
「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」
を定め、上記のような
「“形”だけの独立委員会を作って、会社の主張の“お墨付き”を仮装するような手法」
と批判されないような第三者委員会のモデルを提言しています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

2010年9月6日付日経新聞の報道によると、東京証券取引所も、
「不適切な会計処理が発覚した企業の上場を維持するか否かの審査を判断するに際して、第三者委員会の調査結果も斟酌するが、その際の委員会のあり方としては、日弁連のガイドラインに沿って運営されたものであることが望ましい」
としているようです。

運営管理コード:CLBP32TO32

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00009_文書管理業務の概要

「法務活動の前提環境を整備する」
という法務活動の中には、法令管理に加え、文書管理というものもあります。

契約書等が適正に保存管理されるべきことは当然として、定款、議事録、株主名簿、許可証、登録証などの重要法務文書の管理も重要な法務活動の一環です。

すなわち、これら法務文書は、処分証書であれ、報告証書であれ、
「紛争発生時の証拠として活用されることを想定して、一定の歴史的事実を正確に記したもの」
であり、これを利用する可能性が最も高く、重大な利害関係をもつのが他ならぬ法務セクションであるからです。

そして、文書管理上の最大のリスク、すなわち
「紛失事故(所在分散により発見に長時間要して即時・適時に利用できない事故を含む)」
を予防する意味でも、重要法務文書は法務セクシヨンにおいて集中した原本管理がなされるべきです。

仮に法務セクシヨンが原本管理をしない場合であっても、保管部門に対して適切な管理指導を行うことは
「法務部の重要な支援活動の一つ」
と位置づけられます。

なお、文書管理、すなわち、企業の活動や状況を、
「ミエル化、カタチ化、言語化、文書化、フォーマル化、整理、保管、管理する」
という活動については、とかく軽視されがちです。

「本当に何があったか、どのような状況か、何が行われたかは、自分たちが一番よく知っている」
「自分たちに関することで体験したことや知っていることは、忘れるわけはないし、思い出すのことは簡単だ」
「自分たちに関することで体験したことや知っていることを想起し、言語化し、文書化し、フォーマル化して、事情を知らない外部の専門家や機関に、客観的かつ簡潔に伝えるなど、大した手間ではないし、すぐできる」
「事実が捻じ曲げられるはずはない」
「説明すればわかってくれるし、説明するなんて簡単」

という楽観的なメンタリティーによるバイアスが作用していると思います。

このような集団的な認知バイアスによって、記録管理という営みは常に軽視されがちですが、実際には、
「自分たちに関することで体験したことや知っていることを想起し、言語化し、文書化し、フォーマル化して、事情を知らない外部の専門家や機関に、客観的かつ簡潔に伝える」
という前提作業が一向に進みません。

このことが訴訟やトラブルにおける重大な耐性欠如となって、無残な結果をもたらします。

俗に
「泣く子と地頭には勝ない」
といいますが、法曹界では、
「役所と銀行には裁判で勝てない」
という俗説があります。

要するに、銀行相手の訴訟や、国相手の国家賠償請求や処分取消訴訟、税務争訟等の行政争訟、さらに(これも一種の国相手の訴訟と言えますが)刑事事件においては、たいてい(90%前後あるいはそれ以上の確率で)、訴訟の相手方が敗訴の憂き目に遭う、という経験上の蓋然性が顕著に存在する、ということです。

この理由について、
「裁判所が銀行や国といった強者やエスタブリッシュメント側にシンパシーがあり、不公平に味方するから」
ということがまことしやかに語られますが、私は、全くの邪推、都市伝説の類だと考えます。

すなわち、
「訴訟において国や銀行が圧倒的な強さを発揮するのは、これらの組織が顕著に高い文書管理能力を有しているから」
と考えるからです。

他方、相当規模が大きく法務組織が充実している特定の一部上場企業を除き、一般市民や一般事業会社においては、まともな記録管理や文書管理がされていません。

どの会社も、最低年に一度は税務申告を強制される関係で、企業の活動や状況を、「取引の会計記録」という形で、
「数字による、 ミエル化、カタチ化、フォーマル化 」
はしています。

しかしながら、
「将来の紛議を想定し、客観性ある言語を用いた文書によって記録する」
という活動については、相当重要な取引案件やプロジェクトであっても、ほとんどの会社では絶望的に欠如しています。

1ヶ月前、半年前、数年前の出来事について、
5W2H(いつ、誰が、どこで、何を、どのように、いくら、どの量を、どうした)
という内容を、痕跡を添えて、明瞭に説明しようとしても、
スマートかつスピーディーにこなすことを、一般市民や一般事業会社に求めても、およそ対応不可能な状況に陥ります。

この作業を迅速かつ適切に取り組むには、

・経営陣が日常から文書管理の意味と価値と重要性を理解し、
・そのための予算とマンパワーがあり、
・文書管理というプラクティスに対して資源動員を行う意思決定がなされ、
・法務部等の適切な組織が整備され、
・法務部等が継続的組織的に記録管理活動をし、
・有事においては、即時・適時に、争点となっている紛争発生時の企業の活動や状況を「言語化、文書化、フォーマル化」してアウトプットできる

という運用体制が必要なのです。

例えば、最強の中央官庁と言われる財務省(旧大蔵省)では、新卒総合職で最も優秀・有望な事務官(公務員試験トップ合格者や、東大法学部全優、在学中司法試験や旧外交官試験等も合格した二冠王、三冠王等の化物クラスの秀才)の配属先は、主計局でも主税局でも国際局でもなく、大臣官房文書課(かつては大臣官房秘書課文書係)であった、と仄聞します。

そのくらい、
「中央官庁という『あらゆる訴訟において連戦連勝する常勝組織』は、文書管理を重要視している」
ということであろう、と思われます。

すなわち、中央官庁でも、銀行でも、組織の活動や状況を、ミエル化、カタチ化、言語化、文書化、フォーマル化するという活動をことのほか重要視しており、そのためのマンパワーやこれを支える予算があり、トップ・マネジメントの資源動員決定により、十分な体制整備している、ということが前提ないし背景があるのです。

一般市民や一般事業会社が訴訟を起こしたり、訴訟に巻き込まれたりした場合、訴訟代理人弁護士が就いている就いていないにかかわらず、日常の記録管理体制が不備・不十分ということもあり、事件の核心となりうる事実関係や経緯についてさえ、
「具体的事実を、5W2H(いつ、誰が、どこで、何を、どのように、いくら、どの量を、どうした)というフォーマットにしたがって、痕跡を添えて、明瞭に説明する」こと
がほとんどできません。

結果、具体的事実を明瞭な痕跡を以て丁寧に説明するという真摯な(だが、面倒臭い)訴訟活動をギブアップし、
「これは不当」
「これは不正義・不公平」
「正義に反する」
「相手は悪い」
「相手はひどい」
「信義誠実の原則に反する」
「当方の主張の正当性は火を見るより明らかである」
「権利濫用である」
「社会通念上相当性を欠く 」
などといった勇ましい修飾語を羅列して適当に誤魔化すだけで、評価の基礎となる事実に関する論拠や根拠もなく、自分たちだけが感じている主観的印象やイデオロギーを一方的に展開することに終始する(結果、当然の帰結として裁判所が辟易する)、という状況が傾向として多く見受けられます。

「汝(当事者、弁護士)、事実を語れ、我(裁判所)、法を適用せん」
という行動原理に忠実に従う裁判所としては、
「具体的な事実を丁寧かつ誠実に語らず、正義や公平といったイデオロギーを振り回したり、裁判所の職分を冒して一方的に『法を語』ろうとする暴挙・蛮行に及ぶ無骨者」
を嫌悪・忌避し、
「しっかりとした記録を基礎に具体的事実を痕跡を添えて明瞭に説明する国や銀行の主張」
を是と、後者を徹底的に有利に扱う運用をするのは、当然といえば当然です。

いずれにせよ、文書管理、すなわち、企業の活動や状況を、ミエル化、カタチ化、言語化、文書化、フォーマル化するという活動については、決して軽視されるべきではなく、中央官庁や銀行を範とし、企業規模に応じたしかるべき資源動員を行って、適切適正に遂行されるべき課題として捉えるべきです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00008_企業法務活動を担う社内外の関係当事者

企業法務組織を構築にあたり、企業法務活動を担う社内外の当事者について整理しておきます。

「企業法務」
という企業における法務上の安全保障や有事対応といった活動を担当するのは、法務部や法規室等の企業内法務セクションと顧問弁護士だけと思われがちですが、企業法務を担うのはこれらの部門・人員だけに限りません。

企業法務は、企業の生死を決する重要な機能であり、経営トップが直接判断すべき事項も多く、 トップやトップを補佐すべき機関の役割も非常に重要です。

加えて、企業法務活動展開の上では、依頼部門(あるいは原局、ともいいます。例えば、法務相談を持ち込む事業部や製品部)や協働部門(例えば、契約の財務・税務に関わる部分について協働して解決にあたる財務部門や経理部門)との連携や、他の専門家(監査法人や税理士、弁理士等)との協議・調整も欠かせません。

企業法務を組織面から考察するにあたり、以上のように企業法務活動の担い手(企業法務活動を担うハードウェア)とその機能・役割を広い視点からみていく必要があります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00007_「企業法務」のオペレーション種別からの分析・整理の視点

企業法務に要求されるミッションをオペレーション(具体的活動)面から考察しますと、企業法務活動が、単に契約書のチェック、顧問弁護士(契約法律事務所)へ委任した訴訟案件の管理(争訟法務)だけにとどまらないことが理解認識されます。

次に、企業法務活動として行うべき多種多様の活動を、一定の合理的基準で、分析・整理していきます。

おおまかなフェーズ解析をしますと、法務活動は、
「日常ルーティンから、重要な事業上の意思決定や手法選択の段階を経て、紛争発生を意識した予防措置を講じる段階、さらに、予防措置を超えて紛争が発生し、これが発展・拡大する」
という法的危機の段階的発展推移に対応する形で、

1 アセスメント・環境整備フェーズ(フェーズ1)
2 経営政策・法務戦略構築フェーズ(フェーズ2)
3 予防対策フェーズ(フェーズ3)
4 有事対応フェーズ(フェーズ4)

の4段階に区分されます。

歴史的、沿革的には、企業法務の黎明期においては、企業法務の所掌範囲は、もっぱら
「4 有事対応フェーズ(フェーズ4)」
にのみフォーカスされていました。

この時代においては、そもそも企業が法律に直面するのは、訴訟や紛議が発生し、紛争処理、事件処理というイレギュラーでアブノーマルな事態対処の場面に限られており、対処のほとんどは、顧問弁護士等社外の専門家によって担われていました。

当時(日本産業界の法務部黎明期とも言える時代)、有事における事態対処の状況を把握し、対処上の態度決定(戦略上の選択肢が分岐する場合における意思決定)場面で、トップをサポートするため、弁護士の報告・連絡・相談の一次窓口として、あるいは、軍事監察のような形で、弁護士の法廷活動を傍聴席から臨戦監察する役割を担う部署として、企業法務部(あるいは法務室、法規室)という組織が独立して設置されていました。

このように、原初的な企業法務組織は、
「紛争処理」
「事故処理」
が中心課題でした。

しかし、その後、企業活動が拡大し、これに併せて法務プラクティスが高度化され洗練されていくとともに、アドホック(対処療法的)な
「紛争処理」「事故処理」法務から「予防法務」へ、
さらに、
「予防法務から戦略法務へ」
という形で法務ニーズの発展的拡大が意識されるようになり、これに伴い、
「企業法務」
の具体的内容も、
「4 有事対応フェーズ(フェーズ4)」
から
「3 予防対策フェーズ(フェーズ3)」
へと拡大的発展を遂げました。

その後も、法務のテーマは予防法務から戦略法務へ、 危機管理や危機予防という消極的・受動的なリスク管理だけでなく、経営意思決定プロセスに法的観点や外部視点を加え、経営政策全体としての合法化・健全化の担保とすべき、
というスローガンとともに、企業法務の所掌範囲はさらなる拡大的発展を遂げ、
「3 予防対策フェーズ(フェーズ3)」
にとどまらず、経営意思決定プロセスや事業手法をも取り込む形で、
「2 経営政策・法務戦略構築フェーズ(フェーズ2)」
も含むべきもの、と拡張して理解認識されるようになりました。

また、企業活動を
「カタチ化、見える化、言語化、文書化、フォーマル化」
する、すなわち、秩序や記録を担う、一種の
「企業内“行政”活動(文書による統制活動)」
とも言うべき管理活動も、重要性の希薄なルーティンなどではなく、企業にとって
「法務安全保障」
の重要な前提を構成する、という点が意識されはじめ、企業法務の重要な活動の1つとして、法務オペレーションの内容として取り込まれていきました。

この種の
「企業の文書管理や記録管理」
は、かつて、総務部や庶務部のルーティンの一部として認識されていました。

上場企業の総務部にとって最重要任務は、最低年に一度行われる定時株主総会というイベント運営でした。

しかしながら、総務部の運営哲学に
「法務安全保障」
という点が強く意識されてこなかったこともあり、昭和末期・平成初期のいわゆる
「総会屋」
が跳梁跋扈した時期に、総務部が総会屋の言いなりになってしまい、刑事事件を含む、商法に違反(会社法施行後における会社法違反)する多数の事件やスキャンダルが発生しました。

このように、総務部の組織ミッションにおいて
「法務安全保障」
という観念が欠缺あるいは希薄であることが企業における致命的な弱点として露呈したことが契機となり、また、企業法務活動を十全化、充実化する動きも相俟って、かつては、総務や庶務のルーティンとして
「法務安全保障」
という側面を強く意識されることなく捉えられていた、
「企業内行政活動」
とも言うべき
「1 アセスメント・環境整備フェーズ(フェーズ1)」

「企業法務」活動
の1つとして意識され、法務部所掌業務として取り込まれるようになるトレンドが生じたものと推測されます。

複雑多岐にわたり、実体や射程範囲が把握しにくい
「企業法務」
ですが、このような
「日常ルーティンから、重要な事業上の意思決定や手法選択の段階を経て、紛争発生を意識した予防措置を講じる段階、さらに、予防措置を超えて紛争が発生し、これが発展・拡大する」
という法的危機の段階的発展推移に対応する 4段階のフェーズ区分にしたがって、整理・分析していくことで、機能的な活動区分や所掌デザインが可能になるものと考えられます。

運営管理コード:CLBP18TO18

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00006_「企業法務」の具体的内容>経営政策・法務戦略構築フェーズ(フェーズ2)> 経営サポート法務(あるいは提言法務・提案法務)(フェーズ2A)

経営サポート法務とは、一般に企業経営上の重要な意思決定における立案・審議(経営政策や経営意思決定及び重要な事業企画の立案・審議)に参加し、企業の意思形成過程に関わる法律業務、法的知見を提供し、各ビジネスジャッジメントに合法性・合理性を確保させるための法務活動を指します。

なお、企業法務セクションが遂行するこのような活動を
「戦略法務」
と呼称する論者もいるようです。

しかし、法務スタッフが経営意思決定にオブザーバーとして参画したり、事業企画を検討する場で提案したりする活動を「戦略法務」と定義づけるのは、
「戦略」
という言葉が有する
「徹底した競争優位を指向し、ときに相手を出し抜くことも辞さない」
とのニュアンスにそぐわないと考えられます。

そこで、著者の概念整理上の見解として、
「戦略法務」
については
「規制不備(法の不備や盲点、さらには行政機関による運用不備や特異な業界慣行により生じた事業機会)を見つけ出し、競争優位確立のためにこれを積極的に利用する法務活動」
として定義づけることとし、上記のような法務活動は
「経営サポート法務」
と定義します。

前世紀においては、企業にとっては、監督官庁こそが、法制定者であり、法執行者であり、紛争解決機関であり“神様”でした。監督官庁と緊密な関係さえ保っていれば、そもそも違反自体を逐一指摘されることはありませんでしたし、万が一違反が明るみになっても、監督官庁が
「何とかしてくれる」
という状況にあったのです。

この時代、
「企業の意思決定における合法性や合理性の確保」
という課題達成との関係では、法務スタッフや社内弁護士の知見を前提に経営意思決定をすることではなく、
「何でも監督官庁によく相談する」
ことこそが重要だったのです。

実際、昭和や平成初期において、金融機関が新しい金融商品を開発しその合法性に疑義が生じたときに相談に行く先は、法務部でも顧問弁護士でもなく、旧大蔵省銀行局(現金融庁)でした。

しかしながら、護送船団行政システムが終焉を迎え、徹底した規制緩和が行われ、監督官庁は
「法を制定し、解釈し、運用し、紛争を解決するオールマイティの神様」
から、法令を執行するという単純な役割(とはいえ、これが本来の役割ですが)に留まることになりました。

ここで、企業の法務上の負荷が増大しました。

「これまで気軽に経営意思決定の合法性に関する問題を相談できた“神様(=監督官庁)”」
が神殿の奥に引っ込んでしまい、自前で法務部(さらには社内弁護士)を増強し、自らのリスクとコストで法令を調べさせ、法務の知見を採取しながら、さらに心配であれば面倒な事前照会制度(ノーアクションレター)を活用するなどして、経営意思決定をしなければならなくなったのです。

このような時代の変化もあり、
「法務部の役割は、事件処理(臨床法務)や契約法務(予防法務)だけでは足りない。
法的知見を提供し、経営政策や経営意思決定や事業企画に際して、これら経営判断に合法性・合理性を確保させる法務活動こそが重要だ」
といわれるようになり、経営サポート法務(提言法務・提案法務。論者により「戦略法務」)というプラクティスが確立するようになったのです。

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00005_法令管理業務の概要

リスク管理活動の一種である企業法務においては、個別の法務活動を十全に展開する前提として、まず、適正なリスクアセスメントを行うことが重要です。

これは、一般的事業活動や、プロジェクトマネジメントにおいても、アセスメントや、フィージビリティ・スタディといった、ゲームルールやゲーム環境が、前提課題・先決課題として、意識的に先行されるのと同様です。

すなわち、企業法務を行うためのゲームルールやゲーム環境を把握する活動として、法令や規制環境の把握・管理が必要になります。

具体的には、企業活動に関わる法令・通達・条例のほか、裁判例や実務面での取扱慣行に関する情報の収集・整理が求められます(法令管理あるいは法令調査)。

そして、このような情報は、企業の属する産業分野や、企業の属する事業段階ごと、さらには企業の規模や上場・非上場の別によっても異なりますので、各企業の法務セクションや顧問弁護士(契約法律事務所)が意識的に収集・整理し、日々の法務活動に利用できる状態に置く必要があります。

また、法令や規制環境の調査・情報収集・整理といった規範の管理に加え、法が
「具体的事実を前提に、これを特定の規範にあてはめて、特定の法的効果が生じるか否かを観察する」
というロジックに立つ以上、規範にあてはめるべき具体的事実、すなわち、
「個々の企業活動がどのような状況になっているか」
という点の非法律的アセスメント(事実調査)も必要になる場合が出てきます。

このような事業活動を経済性や合理性の側面から状況把握や実体把握していく、という非法律的プロセスも法務の重要なオペレーションを構成します。

特に、この点は、顧問弁護士等の社外の専門家の手が十分回らないところであり、企業内部の専門集団である企業法務部が真価を発揮する場面です。

一般のビジネスパースンにとっては、裁判や紛議の場面で、弁護士は、法解釈や理屈を振り回しているだけのように誤解されているかもしれませんが、裁判や紛議の場面では、具体的事実とその痕跡たる証拠が決定的であり、また、法解釈は、裁判官の専権であり、弁護士が介入する余地はほとんどありません。

「汝(当事者や弁護士)、事実を語れ、我(裁判所)、法を適用せん」
という裁判手続きにおける役割分担の本質を描写した法格言のとおり、弁護士は、有利な法適用の前提を整えるべく、事実の把握と、痕跡の収集に奔走します。

その際、弁護士が必要とする事実や状況を、
「言語化され、文書化され、痕跡がされた、客観的記録」
として整理された資料を、
「戦闘に必要な武器弾薬等の軍需物資」
として、銃後で調達し、最前線で戦う弁護士に適時適切に届けるのが、有事における企業法務部の中心的機能・役割となります。

そして、これができるのが、法的な考え方を弁護士と共有でき、
「法律」
という特殊言語・特殊文化を理解でき、企業活動に日常的にかかわっている企業法務組織のスタッフです。

その意味では、企業活動を法的側面から把握し、また、法適用の前提として、企業活動の実体や状況を
「ミエル化・カタチ化・言語化・文書化」
して把握する活動は、企業の法務安全保障という点からも非常に重要な意味と価値をもちます。

なお、文書や記録だけの理解・把握では不十分な場合もあります。

今後問題が発生しそうな事案や、新しいプロジェクトに関しては、関係書類を精査してビジネスゴールや状況把握に努めるとともに、時には、法務スタッフがオン・サイト・スタディー(実地調査)を行う必要も出てきます。

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00004_「企業法務」の具体的内容>経営政策・法務戦略構築フェーズ(フェーズ2)>戦略法務(規制不備状況の積極利用)(フェーズ2B)

「戦略法務」
の定義や内容については、論者によって内容が異なり、相当混乱がみられます。

論者によっては、
「戦略法務」
を、
「経営戦略に法の知見を活用する法務活動」
と捉えて、私が定義する
「経営サポート法務(提言法務・提案法務)」
を指す場合もあるようです。

しかしながら、著者の概念整理上の見解としては、
「戦略」
という言葉における
「徹底した競争優位を指向し、ときに相手を出し抜くことも辞さない」
というアグレッシブなニュアンスを重視し、
「戦略法務」

「規制不備状況を積極的に利用するような法律技術」
と定義することとします。

すなわち、現代型法務活動として、
「『規制不備、すなわち、法の不備や盲点、さらには行政機関による運用不備や特異な業界慣行により生じた事業機会』を俊敏に捉え、法務上の知見を戦略的・意識的に活用することで、競争相手を出し抜いたり、他業種へ参入したり、従来の暗黙のルールや商慣行を打破する事業展開を行いながら、企業の競争優位を確立していくようなプラクティス領域」
が発展・確立されてきました。

もちろん、このようないわば“あざとい”法律の活用法は、ライブドアや村上ファンドの事例にみられるように、(法律的非難とは別次元の、非法律的という言い方もできる)社会的非難を誘発し、全体としての企業価値を低下させたり、無用な敵を増やしてしまい、事業運営における有形無形の障害・妨害を発生させたり、と思わぬリスクを生じることもあります。

しかし、
「自らの利益を最大化するため、法律が許容する範囲で、ありとあらゆる選択肢を探し出し、営利を追求する」
というのは企業本来のあるべき姿ですし、少なくとも、
「聞いたことがない」
「従来の慣行に反する」
「世間が許さない」
「行政に対してそういう態度をとると“江戸の仇を長崎で討つ”といつた報復をされる」
という不明な理由を持ち出し、合理的で有益な選択肢であるにもかかわらず、
「端から除外し、検討すら忌避する(あるいは検討する努力を放棄する)」
などということは、
「法的知見をもって企業の営利活動に奉仕する」
という目的を担う企業法務のあり方として極めて不健全です。

したがって、私としては、
「戦略法務」
を肯定的に捉え、積極的に観察し、解明し、評価し、議論の対象としていきたいと思います。

なお、このようなアグレッシブな法活用戦略は、
「公言すると、かえって企業の評判を落としかねない」
という要素もはらんでいます。

そのため、戦略法務を積極的・意欲的に活用する企業は、どの企業も、戦略の詳細を秘匿するか、IR等で開示する際も本来の意図や狙いとは違った表記によって事実上仮装隠蔽し、社会的な非難・批判をかわそうとします。

このようなことから、戦略法務の実態は、極めて把握が困難であり、その研究が遅れ、いまだ定義の混乱を招いている状況となっていると考えられます。

著者としては、採取可能な情報やデータに加え、企業法務研究を志す研究者や実務家等との各研究主体が、様々な事案遂行経験の臨床過程で獲得した知見やより深い実務研究に基づき、なかなか実態把握が容易ではない
「戦略法務」
の内実に迫り、豊富な実例データを蓄積し、これを整理体系化し、その内容を解明していくべきであろう、と思います。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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00003_「企業法務」の具体的内容>予防対策フェーズ(フェーズ3)>予防法務その2・コンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務。企業の法令違反行為に起因する不祥事予防のための法務活動)(フェーズ3B)

法務活動の中で、現代型企業法務の中核である予防法務、すなわち、トラブル予防のための法務活動が挙げられます。

予防法務は、契約事故・企業間紛争を防ぐための予防活動(契約法務)と、法令違反を防ぐための予防活動(コンプライアンス法務)とに分類されますが、後者、すなわち、内部統制システムを構築・運用し、法令違反を防ぐための予防活動(コンプライアンス法務)も、現代の企業法務において極めて重要なオペレーションを構成します。

前者(契約法務)に関しては、契約自由の原則に立脚し、企業の優位を確立するため、提案された契約書のリスク・シミュレーションとリスク・コントロール(リスクの回避・移転・保有等)を行い(契約書精査)、契約条件について利己的・功利的に交渉し(交渉法務)、その成果を緻密に文書化していくこと(契約書作成法務)が活動のポイントとなります。

内部統制システムを構築・運用し、法令違反を防ぐための予防活動(コンプライアンス法務)も、リスクの発現を予防する、という意味において、予防法務活動であることは契約法務と共通点があるものの、働きかけの対象やアプローチ等が異なります。

契約事故を防ぐ契約法務の場合、リスク発現の起点が社外の契約相手方であるところ、企業の法令違反等の企業危機や不祥事というリスク発現の起点は、社内の役職員の規律から逸脱した行動にある、という点が顕著に異なります。

すなわち、内部統制システムを構築・運用し、法令違反を防ぐための予防活動(コンプライアンス法務)における予防を働きかける対象は、自社内の役員や従業員である、という点であり、リスクを理解させ、行動を規律させ、規律から逸脱した行為や計画を早期に発見・抑止し、あるいはすでに行われた不正等を規模が大きくなる前に早期発見して被害軽減措置を取り、さらに、不正等を行った役職員に対して適正に是正措置や懲戒措置を与える、という、内部管理活動がその内実となります。

この、内部統制システムを構築・運用し、法令違反を防ぐための予防活動(コンプライアンス法務)を推進する上で、最大の障害となり得るのは、楽観バイアスや正常性バイアス、あるいは性善説に基づく、認知や状況理解・解釈における不全状態です。

「当社の役職員は皆誠実で善良であり、法令や内部規律を破るような悪い人間は皆無であるので、これと逆の想定に基づく、予防措置など不要で無用」
という誤認識によって、コンプライアンス法務がおざなりになったり、あるいは、この種の法務活動を一切行わない、という態度決定がなされることが多くの企業において見受けられ、この前提誤認によって、潜在的な企業危機・不祥事リスクが増大していきます。

パソコンでもスマホでもAI(人工知能)でもない、一介の
「動物」に過ぎない人間
は、生きて活動する限り、ルールやモラルと本能が衝突したときには、本能を優先します。

したがって、人間は生きている限り、法を犯さずにはいられません。

このことは歴史が証明している事実です。

また、そのような人間の集合体である組織も同様、本能、すなわち営利社団である企業の本能である
「営利追求」
と、法が衝突した場合、いとも簡単に法が無視され、破られます。

「たとえ、赤字転落しても、正直に赤字決算を発表しようよ」
「どんなに切羽詰まっても、また、どんなに実質的に影響がないということがあっても、杭打ちデータのコピペは良くないからやめとこうよ」
「会社がつぶれても、我々の生活が破壊され、家族一同路頭に迷うことになっても、守るべき法や正義はある。ここは、生活を犠牲にしても、法令に違反したことを反省して、社会や外部からいろいろといわれる前に、非を認めて、責任をとって、会社を早急につぶそうよ」

企業に集う人間たちが、そんなご立派なキレイゴトを、意識高く話し合い、高潔に、自分の立場や生活や財産を投げ打って、家族を犠牲にしてでも、法を尊重していく、ということはおよそ考えられません。

人が群れると、
「互いに牽制しあって、モラルを高め合い、法を尊重する方向で高次な方向性を目指す」
どころか、
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
という方向で、下劣な集団意識の下、理念や志や品性の微塵もない集団行動が展開することが圧倒的に多く見受けられます。

ましてや、企業という生き物の本能は、会社法が明確に定義づけるように
「営利の追求」
です。

弱者救済でも、差別なき社会の実現でも、社会秩序や倫理の発展でも、健全な道徳的価値観の確立でも、世界平和の実現でも、環境問題の解決でも、人類の調和的発展でも、持続可能な社会の創造でもありません。

こういう前提認識を明確にもち、
「常にかつ当然に、企業内には、組織に属する役職員によって法が破られ、不正が発生する可能性、危険性が具体的かつ現実的に存在する」
という想定の下、これらのリスクを、早期に発見し、大きくなる前に是正し、再発しないような仕組みを考え、実行し、ということを繰り返す活動が求められます。

日本最大の従業員数を誇る企業であるトヨタの正社員数は37万人とも言われます。

和歌山市や長野市にも匹敵する人数です。

和歌山市長や長野市長が、
「我が市民皆は、誠実で善良であり、法を破るような悪い人間は皆無である」
などといって、刑罰法規も、警察も検察も裁判所も廃止し、治安維持や犯罪検挙・刑事司法等を一切やめてしまったら、どのような事態が起こるか。

相応の規模を有する企業が、
「当社の役職員は皆誠実で善良であり、法令や内部規律を破るような悪い人間は皆無であるので、これと逆の想定に基づく、予防措置など不要で無用」
という考えで、コンプライアンス法務推進を懈怠するのは、これと同様の危険性ある選択であり、現実としても、牧歌的な性善説に依拠して、コンプライアンス法務をおざなりにしてきた企業が、軒並み不祥事や企業危機を発生させ、中には、破産や廃業に追い込まれたところも少なくありません。

いずれにせよ、内部統制システムを構築・運用し、法令違反を防ぐための予防活動(コンプライアンス法務)は、今世紀において、企業の存亡の鍵を握るといっても過言ではないほどの緊急性と重要性を帯びるテーマであり、企業のゴーイング・コンサーン実現のため、しかるべき形で、体制整備と資源動員を行い、推進する必要があります。

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00002_企業法務の射程範囲の広さ

現代のビジネス活動を支援するにふさわしい企業法務活動は、具体的にどのような活動を含むのでしょうか。

その射程範囲について述べていきます。

企業法務とは、企業経営に関わる法律業務全般を指しますが、活動理念や具体的活動内容、社外専門家との協働の要否等は扱う分野によって、大きく異なります。

例えば、他企業との取引や提携等を法務面から支援するという活動の場合、契約自由の原則が働くため、いかに交渉優位を勝ち取り、合意内容の書面化の段階で自己の要望を契約書に反映させるか等、徹頭徹尾、功利的・戦略的対応が求められます。

また、許認可取得の是非を巡る行政機関との折衝や違法不当な行政処分や行政指導へ対応する場合であっても、営業の自由(憲法22条1項)の観点から、違法不当な行政処分等に対しては、企業の正当な主張が展開できるよう法律技術面から支援しなければなりません。

他方、社内に企業の法令違反行為に起因する不祥事の萌芽が存在する可能性については厳しく目を光らせるとともに、役員・従業員個人の暴走が企業組織全体の危機に波及しないよう、内部統制システムを適正に構築し、厳格に運用しなければなりません。

契約事故・企業間紛争や企業の法令違反行為に起因する不祥事が訴訟等に発展した場合は、社外専門家である弁護士と協働し、必要な主張や証拠システムを適正に構築・整理し、裁判所等に対して効果的なプレゼンテーションをすることにより、判決なり和解なりの形で企業にとって有利な解決を勝ち取る活動を行います。

このように、一言に
「企業法務」
といっても、企業活動の全ての分野に関わり、多様な活動理念と活動内容を内包しています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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