01674_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(17)_所属企業の法令環境把握と法令抵触解消手法

1 小前提としての所属企業の実体・現実の調査と把握

00698_所属企業の法令環境把握:小前提としての所属企業の実体・現実の調査と把握

2 大前提としての所属企業の法令環境の調査と把握

00699_所属企業の法令環境把握:大前提としての所属企業の法令環境の調査と把握

3 法令抵触解消手法としてのノーアクションレター

00831_ノーアクションレター制度(法令適用事前確認手続)

00700_ノーアクションレター制度のメリットとデメリット

00620_企業法務ケーススタディ(No.0211):ノーアクションレターを使ってうまいこと攻めろ!

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01673_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(16)_文書管理

1 法的手続きにおいては、文書が決定的に重要

(司法・行政の別を問わず)およそ公的手続といわれる場においては、文書こそがモノをいいますし、特に裁判の場においては、文書の有無・内容は、訴訟の勝敗を決定づけるほど重要です。

有事の状況において、企業の正当性を立証し得る証拠が発見できず、長時間のドキュメントマイニング(資料発掘)の結果、ようやく重要な証拠書類が見つかり、手続の終盤に突如提出すると、当然、 裁判官や審判官は不信感をもちます。

「どうして今頃提出してくるのだ? 紛争になってから作ったのではないか? FAKEではないか?」
と。

取引や重要な事実・状況を、適切な文書によって記録した場合、記録を懈怠した場合とでは、決定的な違いが出てきます。

記録を残した場合、
1)有事の際に力を発揮する
ということはもちろんですが、この他にも、ビジネスや事業や企業活動の管理という点では、
2)記録を適正に残すことにより、活動の自己検証機能が働き、不当な企業活動やいい加減な行動が激減
3)所属従業員の働きぶりや成果の確認もしやすくなるため、経営管理にも役立つ
という効果も期待できます。

2 日本人も日本企業も文書管理は非常に苦手

文書管理(ドキュメンテーション・マネジメント)は、一般の日本企業、平均的日本人のもっとも苦手な分野です。

一般の日本企業において、有事の際、自己の立場の正当性を証明するための文書をリクエストすると、出てくるもののほとんどが、
・目的不明、趣旨不明、意味不明、論理不明、構造不明
内容デタラメ、体裁いい加減、主要要素である5W2H欠如、肝心な要素が欠落した、あるいは要素明確性・具体性が乏しい、「日本昔話」型法務文書(「昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがいた」というような、何時のことか、何処のことか、氏名は何か、といった重要な要素がすべて欠落した、無価値で証明力のない文書)
・保存期間適当といい加減な廃棄ルール
・文書相互間に一貫性・合理的関連性欠如
・そもそも文書の中身は誰も気にしておらず、曖昧な記憶だけが頼りで事業や取引や組織を管理運用
・文書管理に、きちんとした資源(ヒト、モノ、カネ、ノウハウ)を動員せず、また、文書を専門的に管理にするプロを雇う余裕がないため、我流で適当に処理している

そもそも、文書と、データとは違います。

データは、文字や符号や数値の集合に過ぎません。

データが記述・表現できるのは、単純で中立で無機質で無意味で無味乾燥なな事実ないし状況だけです。

また、文書と、情報とも違います。

情報とは、認知された単純な事実ないし状況(データとして記述・表現されます)に、情報発信者が意味や評価や解釈を与えたものですが、そこに構造や全体や方向性までは看取できません。

文書とは、目的性と方向性を有した思考を、明確化・ミエル化・カタチ化・言語化・論理化・構造化・共有可能化・記録化(痕跡化ないし証拠援用可能化や改ざん不能化)したものであり、データや情報の断片を組み合わせて(つまみ食いや再構築して)作成されるものです。

もちろん、一般的な文書が、思考だけでなく、思想や感情を表す場合もありますが、ビジネスにおける文書とは、思想や感情はむしろ有害なものであり、ビジネス文書で表されるべき内容は、作成者の思考です。

問題が起こる企業や破綻する企業は、作成される文書の水準が致命的に低く、かつ、作成された文書の管理も致命的にできていません。

ちなみに、株式公開前の企業、いってみれば、普通の中堅中小企業ですが、こういうところも、営業優先・管理軽視(後回し)で突き進んでいるところも多く、上場準備において、突貫工事で辻褄をあわせたり管理実体を適正化するため、議事録や文書を慌てて整備することもあり得るでしょう(改竄やバックデートは流石にないでしょうが)。

3 例外的に文書管理において優秀さを発揮する日本の組織とは

ちなみに、文書管理(ドキュメンテーション・マネジメント)において、最高のレベルを誇っているのは、
1位 中央官庁を筆頭とする役所
2位 銀行
3位 時価総額5000億円以上の東証一部上場企業
の順です。

多くの企業では、前記のような惨状が横行しています。

問題が起こる企業や破綻する企業は、文書作成の水準が致命的に低く、管理が壊滅的にできていません。

ちなみに、日本の組織や企業を含め、最高レベルの文書管理技術を誇っているのは、中央官庁役所であり、企業では銀行です。銀行と役所には裁判で勝てない、などと言われますが、中央官庁や銀行が裁判でほぼ無敗の強さを誇っているのは、文書管理の精度・練度とは無縁ではありません。

4 法務文書の体裁・要件

法務部が取り扱う企業が作成する法律的文書を、筆者独自のものですが
「法務文書」
と定義します。

「法務文書」
としては、契約書、議事録のほか、重要なメモや確認書等も含まれます。

法務文書とは、特定の具体的事実を立証する力を有することを根源的本質とします。
特定の
「事実」
であり、評価や解釈ではありません。

法務文書には、約束内容であれ確認事実であれ、報告事実であれ、具体的事実、すなわち、
5W2H
=When, Who(to whom, with whom), Where, What, Why, How, and How much (many)
を明瞭に記述し、
作成日付、作成法人名と住所、担当者と担当者の所属やタイトルや権限といった付加情報
を記した適切な文書を作成しておくべきです。

5 法務の観点からみた文書の種類区分

00693_文書管理の基本その1:原本(オリジナル)と写し(コピー)

00694_文書管理の基本その2:処分証書と報告証書

00695_文書管理の基本その3:処分証書(契約書)とともに、厳重な保管管理が必要な文書

6 文書の保存期間や保存方法

00696_文書管理の基本その4:文書の保存期間や保存方法

7 英文文書管理

00697_文書管理の基本その5:英文文書管理

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01672_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(15)_業務環境構築

1 仕事の環境整理

仕事のできる人間ほど作業環境が整理されています。

たいていのデキナイ人間の
「忙しい」
は、
「時間がない」のではなく
「混乱している(心を亡くしている)」
というもの

00682_法務の仕事の前提:作業環境の整理整頓

01509_仕事の効率性向上にもっとも重要な環境整備

2 法令動向や規制環境の調査

企業を取り巻く法的リスク状況を把握するために、常に業界全体の問題意識や業界内の法務対策水準を把握しておくべき

00685_法務担当者として行うべき情報・知見のアップデート術

3 企業法務の仕事の多くは、調査と管理であり、さらにいえば、優れた調査ツールや管理ツールの整備と運用

ウェブ上の法務調査活動ツール

今や、データはコモディティであり、さらに言えば、ノイズ。

データよりナレジ、ナレジよりリテラシー。

とはいえ、世の中、本当に大事なこと(リテラシー)は本に載っていない。

載っていてもわかりにくくしか書いていない。

故に、リテラシーをもたらしてくれる、背景原理や体系を理解し、臨床経験豊富な、ホンモノのプロとの接点作りが、法務を効果的に進める環境として圧倒的に重要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01671_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(14)_/企業法務スタッフの資質・能力の改善・向上させるために

法務部という組織ないし部署を立ち上げ、一定の資質・能力を有する企業法務担当者を徴募して、組織ができあがり、組織が動き始めました。

法務部が動き始めたあとは、レベルアップを目指すことになります。

「企業法務担当者の資質・能力の改善・向上」
というお題目は結構なのですが、実際行われていることは、座学研修をさせてお茶を濁すくらいで、あとは、年功序列でなんとなく肩書がついて予算と権限が増え、これに伴って、まるで
「形が調えば能力や中身が後からついてくる」
といった愚劣な発想の下、陳腐なやり方でキャリアデベロップメントデザインを構築し、踏襲している、というところも少なくありません。

「企業法務担当者の資質・能力の改善・向上」
を適切に行うには、まず、ベンチマーキングをきちんとデザインすることから始めないと、不可能です。

具体的には、

H-・NGレベル 】当該スキルを要求される業務について一切タッチさせてはいけないレベル
【H0・デフォルトレベル 】当該スキルを要求される業務についてブリーフィングなしに補佐補助を任せると過誤修正が多くなり却って時間や手間を要するので、判断を一切伴わない単純事務しか任せられないレベル
【H1・アシスタントレベル 】体系・全体構造・概要把握レベル・当該スキルを要求される基本的業務(ルーティン)について補佐補助を任せられるレベル
【H2・スタッフレベル 】当該スキルを要求される基本的業務(ルーティン)について責任者として自律的に執務ができるレベル・ルーティンフロー(業務の基本・手順・段取り)やルーティンオペレーション上派生する典型的な問題点を理解・把握しており、自主的に課題発見・特定・処理できるレベル
【H3・マネージャーレベル 】応用実務(ボーダーラインケースや新奇課題)に対応できるレベル・手順や事務構造や組織構造の軽微な改変(マイナーチェンジ)に対応できるレベル
【H4・エグゼクティブレベル】最高法務責任者として当該スキル分野に関してあらゆる対応ができるレベル

といった形に整理し、それぞれのレベル毎に、
00630_法務担当者のスキルレベル測定基準
で述べたような詳細なベンチマーキングデザインを行うことが大前提になります。

以上のスキルレベルは、いわば、標準的な企業法務の仕事のスキルの発展・成長段階を整理したものです。

ただ、現代の企業活動においては、このような
「標準的な企業法務の仕事のスキル 」
をもった、いわば陳腐なルーティンオペレーターとしての法務担当者では、
「目まぐるしく変化する法務環境への対応」
や、
「突如発生し、発生した急速に深刻化・重篤化する法務リスクへの対応」
さらには、
「競争優位を構築するために必要な、法務上の知見を生かした、戦略的な(別の言葉を使えば、狡猾で、卑劣で、抜け目ない)ビジネス構築・ビジネス展開」
には不十分、と認識されており、そのために、
「戦略法務を担える、質の面で非連続的な変化・改善を遂げた、戦略人材としての法務部員」
の徴募や養成が必須、などといわれています。

このような文脈で語られる
「戦略法務を担える、質の面で非連続的な変化・改善を遂げた、戦略人材としての法務部員」
について、どのような徴募方針・育成方針で人的資源として実装するかは
00236_戦略法務を担える、「ルーティンオペレーターではない、戦略人材としての法務部員」を調達・養成するには
において詳述しています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01670_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(13)_/企業法務スタッフに求められる資質・能力

企業法務部を作るプロセスで、企業法務専門スタッフを雇用し、あるいは選定して他部署から配置転換させ、固有の社内人的資源としての法務スタッフを整備することになるとしますが、このスタッフィングも、企業法務担当者の固有の業務となります(顧問弁護士も、経営陣も、他部署も誰も手伝ってくれないし、手伝おうにもやり方がわからないので手出しできない、という意味で)。

では、企業法務スタッフを募集し、整備する前提として、そもそも、企業法務スタッフとして求めるられる資質・能力はどういったものとなるでしょうか?

企業法務スタッフは、別に弁護士資格が必要というわけではありません(弁護士資格があっても構いませんが)。

また、法科大学院卒業者である必要もありません(法科大学院卒でも構いませんが)。

さらにいえば、法学部卒である必要もありませんし、大学卒である必要もありません。

企業法務スタッフに求められる基本的な資質・能力としては、
1 社会人・企業人として普通に仕事ができること
2 リーガルマインドを実装すること
です。

1 社会人・企業人として普通に仕事ができることについては、
00819_法務担当者に求められる資質
において述べているとおり、法務セクションというチームの一員として、法務責任者(法務マネージャー)の指揮命令の下、チーム全体のパフォーマンス向上に貢献するというのが主なミッションとなりますので、
「部下としての基本的なわきまえができていること」
が前提となります。

法務担当者といえども、その前に企業人ですから当然といえば当然です。

具体的には、
01658_企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、死守すべき固有の業務分野(1)_普通に社会人としての仕事をこなせるようになる
で述べたような社会人・企業人としての仕事の基本的スキルを実装すること、と同義です。

この点、企業法務担当者の中には、
「専門家だから、通常の従業員とは違う」
「単純で卑近な金儲け一辺倒ではなく、大所、高所から、あるいは法的観点から、正しい仕事をする」
といった愚劣な勘違いをする方がいますが、完全に間違っています。

企業活動とは、平たく言えば、組織ぐるみでやる金儲けです。

「金儲け活動」
を単純化すれば、
・安く買って高く売る、
・安く作って高く売る、
・客に奉仕して手間賃をもらう、
・カネを元手にして金融や投資活動でカネを増やす、
のいずれかに整理されます。

これ以外に、金儲けする方法は存在しません。

企業活動とは、単純な金儲けではなく、
「組織ぐるみ」
という点が特徴的です。

そして、
「組織ぐるみ」
でやる上では、 前記の
「『金儲け活動』を管理する活動」
というものが発生します(個人で商売する上ではこの種の管理活動は発生しないか、備忘程度に発生するだけです)。

管理とは、
管理前提を整え、
すなわち、
ミエル化・カタチ化・文書化・フォーマル化し、
これを前提に、
透明化されたものを共有したり、開示したりして、改善を行っていく活動
です。

管理前提、すなわち、
「金儲け活動」
の様子を、数字(や言語)を使って、
ミエル化・カタチ化・文書化・フォーマル化する活動
は、絶対必須であり、重要です。

透明化されないものは、知覚認知できませんし、知覚認知できないものは制御できませんし、制御できなければ改善は望めません。

したがって、管理をする場合、文書を使ってコミュニケーションを行うことが必須スキルになります。

このあたりの詳細は、
00680_法務担当者として法務サービスという仕事を行う前提として、そもそも「仕事」とは何か?仕事の仕方、回し方をきっちり理解できているか?
で述べています。

2 リーガルマインドを実装すること についてですが、この
「リーガルマインド」
というのは厄介です。

通常、
「リーガルマインド」
というと、
「自由と正義を希求し、人権保障や社会正義のため、悪と戦う」
みたいなヒロイックでファンタジックな、とはいえ無内容で、何を言っているのかさっぱりわからないようなものをイメージしがちです。

ですが、
「『自由と正義を希求し、人権保障や社会正義のため、悪と戦う』みたいなヒロイックでファンタジックな、とはいえ無内容で、何を言っているのかさっぱりわからないような『リーガルマインド 』」
というのは、関係ないというか、企業法務担当者(企業法務スタッフ)の資質・能力としては、邪魔というか有害です。

というのは、企業法務担当者(企業法務スタッフ)に求められているのは、企業活動、平たく言えば
「組織ぐるみ金儲け」
を安全・安心に行えるようにするための安全保障活動だからであり、正義とか人権とかは無意味であり、金儲けの邪魔ですらあるからです。

その意味では、
「リーガルマインド」
というものを企業法務担当者向けに再定義することが必要ですが、このことは、
01634_企業法務におけるリーガルマインド
において詳述しています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01669_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(12)_法務部を作る(法務組織を部署として立ち上げる)

企業法務担当者としての固有の業務分野(顧問弁護士に外注できない仕事)として、
「法務部を作る(法務組織を部署として立ち上げる)」
というタスクアイテムがあります。

論点としては、
00681_法務部を作る上での論点
といったものがありますが、以下、具体的に列挙していきます。

1 そもそも、「企業法務部」とは何をするところで、どういう組織か?

企業法務部とは、「法務」という「企業をクライアントとする、安全保障サービス」を提供する、
「社内サービス提供部署」兼「外注管理部署」
です。

詳細については、
00601_企業法務部とは
で述べていますが、法務部という組織自体、法律上設置が強制されているわけでもありませんから、なくても、まったく問題ありません。

要するに、「法務」サービスないし機能の調達方法は、企業の実情によって様々ですし、また、法務部という組織も、一切合切外注、という方向すらあり得るところなのです。

2 法務部をそもそも作るか、作らないか

法務部を作るに際して、まず、そもそも、法務部って、
・何をやるところで、
・そもそも要るのか要らないのか、
・要るとして顧問弁護士(外部の契約法律事務所)の仕事と被らないのか、どういう役割分担設計にするのか
という疑問が出てきます。

これについては、
00675_企業法務ケーススタディ(No.0225):法務部って何するところ? 必要なの?
や、日経BizGate誌上に連載の
経営トップのための”法律オンチ”脱却講座 シリーズのケース32:法務部って何するところ? 必要なの?をご覧ください。

法務部を作る、という意思決定をした場合、次に、何をさせるために、どのような予算規模、人員規模の組織を作るか、という論点に移行します。

このあたりの考え方は、
00602_「社内サービス提供部署」である法務部を、サービス内容・提供組織の両面から機能デザイン(設計)する
で述べていますが、
制約要因を冷静に把握し(=分際をわきまえ)、
現実解(シチュエーション・コントロールを早々にギブアップし、
ダメージ・コントロール課題に注力するなどを含む)を現実的手法で実現していくこと
が重要です。

このような観点で、デザインされた、
・当該企業の法務サービスレベル
・当該企業の法務スタッフィングの、予算レベル相応のサイズとクオリティ
が、当該企業にとっての正解といえます。

3 法務部を作るとして、予算規模として、どのようなサイズ感(予算サイズ感)にするか?

また、法務部を作る上では、そのサイズ設計(規模の大小) をどうするか、という問題と絡めて、法務予算の策定も頭を悩ますところです。

この点、法務予算総額の設計の考え方としては、
00608_法務予算設計の考え方
をご覧ください。

法務総額予算を前提として、法務部という組織運営予算は、法務予算の分類上、
「定常的(経常的、平時)法務予算」
として計上されるべき、
配賦先1:社内サービス提供部門としての法務部
配賦先2:外部調達先としての法律顧問(顧問弁護士)の予防法務サービス予算
のうち、
「配賦先1:社内サービス提供部門としての法務部」
に位置づけられます。

このあたりの法務総額予算(法務予算総額) 内の詳細な分類ロジック等については、
00609_法務予算の分類
をご覧ください。

結局、法務予算、すなわち企業における法務安全保障予算の考え方は、どの程度の危険を想定するか、危険感受性と比例します。

この点は、
00605_「法務部」設計に際して考慮すべき、「有事」蓋然性、想定ダメージ及びコスト・パフォーマンス
で述べています。

4 法務部を作るとして、人員規模として、どのようなサイズ感(人員サイズ感)にするか?

人員規模については、予算規模の決定という課題処理が先行し、予算が決まれば、人員規模も自ずと決まってきます。

とはいえ、企業規模の大きさに比例して、
「直面し、処理すべき課題の広汎性やマグニチュード(重篤さ)」
も広く・大きくなりますし、企業規模の大小と、法務の人員サイズ感(規模)との間には、相関性が看取されます。

ここで、企業規模と法務のサイズ感との相関性モデルを、
00632_企業の規模・法務体制に対応した、法務に関する全体テーマ(認知改善課題及び体制整備課題)
で整理しています。

そして、中小零細企業においては、少ない予算・少ない人員で、効率的に(セコく)法務組織を構築する必要性が出てきますが、こういういった工夫については、
00014_企業法務部門の規模格差と、中小企業・ベンチャー企業における法務体制充実に向けた取り組み
00606_中小零細企業の「法務」体制設計
において述べています。

5 法務部を作るとして、階層構造・組織秩序・役割分担として、設計・構築するか?

(1)企業全体として生じる法務活動を担う法務関連の組織一切を総括した場合の階層構造・組織秩序・役割分担
企業全体としての法務活動を担う法務関連の組織一切を総括して、眺めると、以下のように詳細化されます。

01062_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(1)企業トップマネジメント(代表取締役、代表執行役・CEO、社長等)

01063_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(2)トップマネジメント直属の法務関連諮問機関(コンプライアンス委員会等)>立場と役割等

01064_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(2)トップマネジメント直属の法務関連諮問機関(コンプライアンス委員会等)>法的位置づけ

01065_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(3)監視・監督・監査を行う代表取締役以外の法定諸機関

01067_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(4)法務責任者(法務担当役員や法務部長等の法務マネージャー)>資質

01068_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(4)法務責任者(法務担当役員や法務部長等の法務マネージャー)>資格

01069_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(4)法務責任者(法務担当役員や法務部長等の法務マネージャー)>取締役職とするか

01070_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(5)法務スタッフ>資質

01071_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(5)法務スタッフ>活動概要

01072_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(5)法務スタッフ>企業内従事者向け活動

01073_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(5)法務スタッフ>トップマネジメント(経営意思決定機関)向け法務政策提言

01074_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(5)法務スタッフ>企業内一般従業者(役職員)向け法務啓発活動

01075_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(5)法務スタッフ>機関運営

01076_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(6)顧間弁護士(契約法律事務所)>企業法務セクションと顧問弁護士(契約法律事務所)の役割分担

01077_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(6)顧間弁護士(契約法律事務所)>法律事務所の種類

01078_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(6)顧間弁護士(契約法律事務所)>弁護士報酬>顧問料

01079_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(6)顧間弁護士(契約法律事務所)>弁護士報酬>事案報酬(プロジェクトフィー)

01080_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(6)顧間弁護士(契約法律事務所)>セカンドオピニオン

01081_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(7)企業法務活動に関係する企業内協働部門

01082_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(8)企業法務活動に関係する社外専門家

01083_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(9)外部機関・団体等

(2)法務部内の階層構造・組織秩序・役割分担
法務組織の職制(経営管理における指揮命令を実施する観点から、位階的に整理された組織秩序)設計と、各職制が所掌するタスクの内容設計ですが、典型的な企業法務部を考えた場合、すなわち、
ア 最高法務責任者、法務担当役員
イ 法務部長
ウ 法務課長
エ 法務スタッフ
で構成される企業法務を考えた場合、以下のようなモデルが考えられます。

00611_法務組織の職制設計と所掌分担設計

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01668_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(11)_「外注管理部署としての法務部」として実装すべき「社外弁護士への外注スキル」

「外注管理部署としての法務部」
といわれると、
「法務の外注管理」って何?きちっと弁護士のきちっとした仕事を横目でボーっと眺めているだけなんでしょ・・・
と、いわれそうかもしれません。

すなわち、
・企業内に生じた法務に関する対応課題を、法務サービスを担う法務部がしないで、社外の弁護士に外注するんだったら、法務部は何もやらなくていいのでしょうか?
・「弁護士がいて、法的なことをお願いするだけだったら、法務とかいらねえじゃん」という批判に対して、どのように存在価値を示したらいいのでしょうか?
・やはり、無理をしてでも、弁護士の向こうを張って、弁護士に負けない法務サービスを自力でやり遂げるべく、頑張ったほうがいいのでしょうか?
と様々な疑問が浮上します。

しかし、外注管理部署として、外注管理部署でなければできない役割というものもあります。

この点に関しては、
00678_「外注管理部署」としての法務部の意義・価値・積極的役割
に述べています。

そして、
「外注管理部署としての法務部」として実装すべき「社外弁護士への外注スキル」
について、具体的にどのようなものか、という点については、下記のシリーズコンテンツで述べています。

00764_社外弁護士への外注スキル1:法務担当者の外注スキルの意義・重要性

00765_社外弁護士への外注スキル2:外注先業者たる弁護士の実体と生態(1)弁護士バッジをもらうまで

00766_社外弁護士への外注スキル3:外注先業者たる弁護士の実体と生態(2)弁護士に専門分野があるのか?

00767_社外弁護士への外注スキル4:外注先業者たる弁護士の実体と生態(3)弁護士の実態把握と能力検証

00768_社外弁護士への外注スキル5:外注先業者たる弁護士の実体と生態(4)弁護士を上手に使いこなすコツ

00769_社外弁護士への外注スキル6:外注先業者たる弁護士の実体と生態(5)弁護士の競争調達と外注管理

「企業内において生じた法務サービスについて、何を内製化して、何を外注化するか?」
というのは悩ましい論点ですが、懐具合や、人的資源のスキルや練度、専門性や責任体制といった諸点を考えて、検討することになります。

この点は、

00610_企業安全保障サービスとしての法務活動の内容設計と調達方法

に述べています。

最後に、外注する際、やたらと
「これが得意」
「こんなことができる」
「俺はすごい」
と売り込んできたり、紹介者が持ち上げて外注候補として登場してくる
「自称凄腕弁護士」
と、外注するかどうか検討する場面が出てきます。

もちろん、言葉どおり、すごくて優秀で結果が出せる弁護士であれば、いいのですが、そうでない場合、特に、
「うまく切り抜けられると期待して信じていたら、全然違う結果になった」
という場合、起用責任者・調達責任者や外注管理担当者である法務担当者は、かなり厳しい立場に追い詰められます。

そういうときに、是非下記コンテンツをふまえ、調達・起用する際のリテラシーを実装しておいてください。

00674_「ホニャララの訴訟に強い弁護士」「チョメチョメの分野で勝てる弁護士」という話の信頼性

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01667_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(10)_「外注管理部署としての法務部」として実装すべき外注心得

外注は恥でもないし、役に立ちます。

外注すると決めたら、自分たちがやるべきことだけに集中し、外注できること、外注すべきことは、とことん外注しましょう。

ただ、気をつけなければならないのは、
「(外注管理という営みを前提とする)外注」

「丸投げ」
は違います。

では、
「(外注管理という営みを前提とする)外注」
を仕事として全うするためには、どういう心得をもち、どんなことに注意をしておくべきでしょうか?

・ 不安になりましょう。
・ 危険を感じましょう。
・ 危険を感じたら、危険を発見し、具体化・特定化しましょう。
・ 具体化・特定化された危険は、適切な対応力あるプロに任されば、どんな危険でも、必ず、何らかの対応可能です。
・ 経験もないのに、「オレはできる。オレがこの危険を処理して、会社を救ったスーパーヒーローとして、皆の喝采を浴びてやる」という考えは危険です。
・「社会人の仕事」と「学生の勉強や試験」との最大の違いは、社会人が仕事を進める場合、学生の勉強や試験と違って「カンニングや替え玉受験やレポート代筆等がすべてOK」という点です。
・すなわち、学生時代においては、勉強や調べ物や宿題やレポートはすべて自力でやり遂げるべきものであり、「家庭教師にカネを払って代わりにやってもらう」などということは言語道断であり、また、試験でカンニングしたり、替え玉に受験させたりするのは、犯罪行為とされます。
しかしながら、社会人が仕事を進める上では、「『自分たちだけでやり遂げる』ことにこだわり、ロクに知識もない素人が何ヶ月かけてグズグズ議論する」という方が給料の無駄であり、会社にとって有害です。
・むしろ、迅速かつ適価にて、外部のプロから必要な資源を調達することこそが仕事のあり方として求められます。

法務部や総務部に配属される方は、どちらかというと生真面目な試験秀才タイプが多く、
「“仕事”と“お勉強”の違いがわかっておらず、法務リスク管理という純ビジネス課題を学究課題と勘違いし、時間がかかっても自力で調査する」
という無駄で非効率な方向性に向かいがちです。

無論、自力で正しい解決に辿りつければいいのですが、情報や経験の不足から、方向性を誤り、
「時間をかけた挙句、仕切りをミスって、会社に大きな迷惑を被らせる」
という悲惨なチョンボをしでかすこともままあります。

この点、
00679_法務外注の基本思想:「社会人の仕事」と「学生の勉強や試験」との最大の違いは、社会人が仕事を進める場合、学生の勉強や試験と違って「カンニングや替え玉受験やレポート代筆等がすべてOK」という点
に、述べています。

・ 法務リスク管理というお仕事、すなわち、
「法令に関する専門的知見に基づき、発見特定されたリスクをうまいこと処理して、大事にならないように仕切る」
という課題処理は、要するに、
「弁護士その他の専門家という“外注業者”をいかに上手に、適価で使い倒すか」
という点がポイントになります。
無論、最終的な社内ジャッジをする際には法務部等の社員プロパーの仕事になるとしても、ジャッジに至るまでの大部分の情報は外注処理で賄えば足りる話です。

・  バカもハサミも弁護士も使いようです。
「学生時代の勉強のように、カンニングや替え玉受験なしで、自力でなんとかしなければ」
と考えて無駄なストレスを抱え込むことなく、外注業者をうまく使いこなすことにより、ラクに、楽しくこなせる仕事にすることができるのです。

・ そのためには、予算と要員配置の権限をもっている経営者とうまくコミュニケーションしましょう。
法務リタラシーを改善してあげましょう。

なお経営者に法務上の提言を行い、法務リテラシー改善し、必要な法務プロジェクト実施に向けた資源動員意思決定を誘導するに際して、機能的非識字状態にある経営陣に対して、法的に高度な概念をそのままぶつけたりすることは、
「象形文字」
とか、誰も理解できないどこか遠くの国の部族のコトバを、咀嚼をせず、そのまま披瀝するのと同様に、経営陣の忌避と反感を買うだけです。

経営者に法務プレゼンをする際、プレイン・ランゲージ(平たい言葉)で、咀嚼して、会話の水準を思いっきり下げて、優しく誘導して差し上げましょう。

さらに、その種のリタラシー改善や役員の方々にうまいこと説明をしてこの課題を前に進めたい、というときには、手伝ってくれる弁護士(プロジェクト実施にもっていける、話のうまい弁護士)を常に複数リソースとして確保しておきましょう。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01666_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(9)_有事(存立危機事態)対処における臨床経験

法務担当者が、絶対に持ち得ない経験上の知見ともいうべき分野があります。

それは、有事(存立危機事態)対処における臨床経験です。

所属企業が数年に一度は大規模な不祥事を起こし、その度に存立危機事態に陥っている、というような場合は格別、通常、ゴーイングコンサーンという前提環境で運営される企業に所属する法務担当者にとって、有事(存立危機事態)はあくまで新聞テレビで触れるだけの対岸の火事に過ぎません。

そして、このような特殊な事態対処は、経験知や経験から推定される事態展開予測といった、現場経験に依存した認知や解釈や想定やスキルが幅をきかせます。

その意味では、このような状況に至った場合、法務担当者が机上の学習成果で検討するのは極めて危険であり、相当初期の、状況認知・解釈の段階から、経験ある専門家を調達し、エンゲージさせるべきことが推奨されます。

なお、有事(存立危機事態)対処は展開が急かつ多岐にわたり、手を拱いていると状況がどんどん悪化するので、平時において、各有事の種別に対応した、経験ある専門家とのコネクションを維持形成しておくことが重要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01665_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(8)_企業内・業界内の知見

法務担当者は、顧問弁護士等の社外専門家と違い、もちろん、社内の人間です。

法律はある程度知見があるとはいえ、基本的に、企業の人間であり、ビジネスの人間です。

企業オンチ、ビジネスオンチでは、法務担当者は務まりません。

すなわち、ビジネスの知見、会計や財務の知見、投資や金融の知見、さらには、企業や業界固有の知見を保有していることも求められます。

とはいえ、法務担当者が、一般の企業の役職員と違うのは、このような、企業や業界に固有の知見を、事件処理や有事(存立危機事態)対処の場面、またそのような重大な状況でなくとも、契約書や機関決定等の組織として作成・保存すべき議事録等、その他対外的文書において、企業内や業界内でしか通用しない特殊な慣行やしきたり、さらには方言ともいうべき
「ジャーゴン(符牒等)」
を明確かつ客観的な言葉で表現し説明する役割を有していることです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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