00684_企業法務の仕事の大半は、調査と整理と管理(制御)であり、その契機としての「法務営業」

企業法務の仕事の大半は、調査と整理と管理です。

調べたり(調査)、調べた結果を文書化して整理したり(整理)、プロジェクト管理や外注管理や交渉(社内交渉や対外交渉)といった形で制御対象への働きかけ(管理・制御)です。

もちろん、その契機として、法務サービスの起点、すなわち法的リスクを探し出し、法務サービスを介入するような
「営業活動」、
すなわち、法務サービスの価値や有用性を他部門に気づいてもらい、介入(お節介)を許容してもらうことが必要です。

この
「法務営業活動」

「営業対象」たる「法的リスクが生じ得る事案」
を認知しないことには始まりません。

したがって、(長年平穏に行われていて法的問題が生じないことが経験上明らかな通常サイズのルーティン取引を除き)新規取引、新規事業プロジェクト、大規模プロジェクト、未経験な状況や事態の浮上、といった新規性・スケール性・病理性がうかがえる企業活動を
「取材」
によって覚知することも必要です。

そして、調査と整理と管理をしっかりと、すなわち漏れ抜けなく、効率的に遂行するためには、優れた調査ツールや管理ツールの整備と運用が必要であり、また、そういうツールや運用技術の先端的な開発状況を把握しておくことも必要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00683_法務部として行うべき「法務サービス」の「営業」や、「法務ニーズ」発見・覚知のための「取材」

法務部の業務は、黙って座っていて持ち込まれることよりも、積極的に
「営業」
にでかけ、法務サービズニーズを発見し(気づき、気づかせ)、法務サービスニーズの価値と有用性を理解してもらい法務サービスの介入を受容してもらう必要もあります。

もちろん、黙って座っていたら、法務部に他部門(原局)から
「法的に問題が起こりそうだから、助けてくれ」
と救援が求められることもあるでしょう。

しかし、素人目にも明らかに法的問題が生じている段階、すなわち、
弁護士名義の内容証明郵便の通知が来た、
所管官庁等から問い合わせや照会文書や呼び出しがきた、
訴状が送られてきた、
新聞や週刊誌の取材がきた、
という段階では、手遅れか、あるいは解決するために顧問弁護士等社外専門家の動員を含めた気の遠くなる時間、コスト、エネルギーを要する状態にまで、成熟(悪化)してしまっていることがほとんどです。

すなわち、法務サービスの起点、すなわち法的リスクを探し出し、法務サービスを介入するような
「営業活動」、
すなわち、法務サービスの価値や有用性を他部門に気づいてもらい、早期に介入(お節介)を許容してもらうことが必要です。

この
「法務営業活動」

「営業対象」たる「法的リスクが生じうる事案」
を認知しないことには始まりません。

したがって、(長年平穏に行われていて法的問題が生じないことが経験上明らかな通常サイズのルーティン取引を除き)新規取引、新規事業プロジェクト、大規模プロジェクト、未経験な状況や事態の浮上、といった新規性・スケール性・病理性がうかがえる企業活動を
「取材」
によって覚知することも必要です。

したがって、法務サービスの
「営業」
にでかけ、法的リスクが潜んでいる企業活動を
「取材」
によって覚知し、
「法務サービス」
の契機を探し出し、法務サービス介入を当該担当者に理解してもらうべく、説得することが必要になってきます。

早期に発見・特定できた法務リスクは、簡単に制御できます。

契約のリスキーな条項をリスクがなくなるよう(あるいは減らせるよう)
「上書き」したり、
ビジネスモデルや座組や商流を変更してリスクを回避したり転嫁したり、
さらには、最悪、検討しているビジネスから撤退してしまえば、
リスクは根源的に消失します。

おそらく、営業部門や企画部門からは、手柄ないし手柄を立てるチャンスを潰されそうになっていることから、怨嗟の声が上がるかもしれません。

ですが、法的リスクに目をつぶったからといって、法的リスクがなくなるわけではありません。

また、法務部としては、事業を中止する権限をもっているわけではなく、最終的には取締役会ないし担当取締役の裁量により決定されますので、
「法務部が余計なことをいいやがった」
という怨嗟の声はお角違いです。

組織内にこういうことが何度か経験として蓄積されると、
「法務部が介入するとロクなことがない」
というネガティブなイメージができあがり、法務部の
「営業」
は、非常に厳しい営業活動になるかもしれませんが、このような障害をはねのけ、
「法務営業」
に邁進するタフなメンタルをもつことも必要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00682_法務の仕事の前提:作業環境の整理整頓

雑然とした作業環境は、漏れ抜けが生じるリスクが生じます。

法務担当者にとって、漏れ抜けは致命的であり、法務の致命的ミスは、会社の生き死にに関わります。

法務担当者の中でも仕事のできる人ほど、作業環境は整理されています。

作業環境が雑然としている者は、できない人間が多く、できない人間ほど、
「忙しい」
を連発します。

このできない人間が連発する
「忙しい」
は、やるべきことが明確になっていてその段取りもきっちり把握できているが時間がない、という意味ではありません。

この「忙しい」
は、
「時間がない」
のではなく
「混乱している(心を亡くしている)」
というものです。

一流の法務担当者になるには、作業環境を整理して、漏れ抜けを無くし、混乱しないようにして、クールに仕事を進めるべきです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00681_法務部を作る上での論点

0 前提論点:そもそも法務部は必要か、不要か?

1 法務を担う組織の体制作り

2 法務部の役割分担設計哲学

3 内製化するもの、外注するものの区分設計と区分管理

4 法務部運営のサイズ設計と対処課題

5 法務担当者に求められる資質・能力と改善・向上

6 法務担当者が担うべき具体的業務

7 法務担当者に整備すべき情報環境(情報インフラ)と活用術

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00680_法務担当者として法務サービスという仕事を行う前提として、そもそも「仕事」とは何か?仕事の仕方、回し方をきっちり理解できているか?

「仕事」
とは、企業活動を担うことですが、企業活動とは、平たく言えば金儲けです。

安く買って高く売る、
安く作って高く売る、
客に奉仕して手間賃をもらう、
カネを元手にして金融や投資活動でカネを増やす、
のいずれかしか金儲けする方法は存在しません。

ただ、企業が金儲けをする際、以上の活動以外にも様々な活動が派生します。

すなわち、以上の
「金儲け活動」
を管理する活動です。

管理とは、
管理前提を整え、すなわち、ミエル化・カタチ化・文書化・フォーマル化し、
これを前提に、透明化されたものを共有したり、開示したりして、改善を行っていく活動です。

管理前提、すなわち、
「金儲け活動」
の様子を、数字(や言語)を使って、ミエル化・カタチ化・文書化・フォーマル化する活動は、絶対必須であり、重要です。

透明化されないものは、知覚認知できませんし、知覚認知できないものは制御できませんし、制御できなければ改善は望めません。

したがって、管理をする場合、文書を使ってコミュニケーションを行うことが必須スキルになります。

加えて、金儲け活動も組織で行う場合は、情報共有の上、秩序構築された組織的対応をするためにはこちらも、文書を使ってコミュニケーションが必須になります。

結果、企業人の仕事とは、文書にまつわるスキルやコミュニケーションにまつわる活動が大きな柱になります。

以下、企業人の仕事、すなわち、企業活動に関し生じる文書にまつわるスキルやコミュニケーションにまつわる活動の中身を整理して分解してみます。

(1) 報告
① 報告の前提としての正確で客観的な情報
② 報告の具体性
③ 報告のタイミング
④ 報告で用いる表現

(2) 連絡
① 報告と連絡の違い
② 連絡の受信者に対するフォロー
③ 上司への連絡

(3) 相談

(4) 企画する、考える

(5) 段取りを組む、実施する

(6) 整理する

(7) 評価する

(8) 改善する、改革する
① 「改革や改善」という仕事の重要性
② 「改革や改善」という仕事は困難性(皆、苦手な科目)
③ 「改革や改善」のための課題選定
④ 「改革や改善」案の創出
⑤ 「改革や改善」のダークサイド(改革や改善は必ず誰かを損させる)

(9) 関係構築をする、交渉する
① 前世紀における関係構築術
② 今世紀における企業間関係構築の在り方
③ 産業社会における性善説の終焉

(10) 仕事を通じて奉仕する対象である「企業」の把握
① 企業の特徴
② 企業の生態・意思決定

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00679_法務外注の基本思想:「社会人の仕事」と「学生の勉強や試験」との最大の違いは、社会人が仕事を進める場合、学生の勉強や試験と違って「カンニングや替え玉受験やレポート代筆等がすべてOK」という点

企業内に生じた法務サービスについては、法務部が内製化して自力で完遂すべきでしょうか?

それとも、顧問弁護士等の社外専門家に外注した方がいいのでしょうか?

でも、社外に外注するのであれば、法務の仕事は、外注管理ということになり、であれば、
「弁護士という圧倒的に優秀なスキルを保持するサービス提供者の腰巾着か太鼓持ち」
ということになり、
「顧問弁護士がいれば、横でくっついている金魚の(中略)みたいな法務部不要」
という社内世論が出てくるのではないか?

やはり、
「法務部が、企業内に生じた法務サービスに応えられないので、外注する」
という恥ずべき事態は何とかすべきであり、たとえ失敗したり、素人考えの素人仕事であっても、がんばって自力処理するべきではないか?

こんな疑問が生じる前提として、
責任ある自立した社会人として、目の前の課題に背を向け、安易に外のプロにカネを払って済ませる、という事自体、無責任で不誠実の極みであり、人として、社会人として、歯を食いしばって何とか頑張るべきではないか?
という根源的な疑義が存在し、これについてどういう考えをもっておくか、きちんと整理しておくべき必要があると思われます。

まず、押さえておくべき、確認しておくべく基本的な思想としては、
「社会人の仕事」

「学生の勉強や試験」
との最大の違いは、社会人が仕事を進める場合、学生の勉強や試験と違って
「カンニングや替え玉受験やレポート代筆等がすべてOK」
という点です。

学生時代においては、勉強や調べ物や宿題やレポートはすべて自力でやり遂げるべきものであり、
「家庭教師にカネを払って代わりにやってもらう」
などということは言語道断であり、また、試験でカンニングしたり、替え玉に受験させたりするのは、犯罪行為とされます。

しかしながら、社会人が仕事を進める上では、
「『自分たちだけでやり遂げる』ことにこだわり、ロクに知識もない素人が何ヶ月かけてグズグズ議論する」
という方が給料の無駄であり、会社にとって有害です。

そういう無駄で有害な発想ではなく、むしろ、
・課題解決はすべて内製化して自力で行うというドグマを排して、外注という資源動員上の選択肢をきっちりもっておくこと
・迅速かつ適価にて、外部のプロから必要な資源を調達すること
・外注については、目的達成まできっちりフォローすること、すなわち外注管理(予算管理、品質管理、納期管理、使い勝手管理)をすること
の方が、本当の仕事のあり方(付加価値の創出)として求められます。

法務部や総務部に配属される方は、どちらかというと生真面目な試験秀才タイプが多く、
「“仕事”と“お勉強”の違いがわかっておらず、法務リスク管理という純ビジネス課題を学究課題と勘違いし、時間がかかっても自力で調査する」
という無駄で非効率な方向性に向かいがちです。

無論、自力で正しい解決に辿りつければいいのですが、情報や経験の不足から、方向性を誤り、
「時間をかけた挙句、仕切りをミスって、会社に大きな迷惑を被らせる」
という悲惨なチョンボをしでかすこともままあります。

法務リスク管理というお仕事、すなわち、
「法令に関する専門的知見に基づき、発見特定されたリスクをうまいこと処理して、大事にならないように仕切る」
という課題処理は、要するに、
「弁護士その他の専門家という“外注業者”をいかに上手に、適価で使い倒すか」
という点がポイントになります。

無論、最終的な社内ジャッジをする際には法務部等の社員プロパーの仕事になるとしても、ジャッジに至るまでの大部分の情報は外注処理で賄えば足りる話です。

バカもハサミも弁護士も使いようです。

「学生時代の勉強のように、カンニングや替え玉受験なしで、自力でなんとかしなければ」
と考えて無駄なストレスを抱え込むことなく、外注業者をうまく使いこなすことにより、ラクに、楽しくこなせる仕事にすることができるのです。

そのためには、予算と要員資源動員の権限をもっている経営者とうまくコミュニケーションすべきです。

そして、外注がうまく、スムーズに機能するように、経営者の法務リタラシーを改善して差し上げるべきです。

しかし、経営者にとっては、法務のことは全くわかりませんし、判断材料としての資料も「象形文字」のオンパレードです。

経営者とコミュニケーションを取る際、「(経営者にとってみれば)誰も理解できないどこか遠くの国の部族のコトバ」ともいうべき法律用語等を、咀嚼をせず、そのまま役員の前で披瀝するのはやめるべきです。

そして、その種のリタラシー改善や役員の方々にうまいこと説明をしてこの課題を前に進めたい、というときには、手伝ってくれる弁護士を常に複数リソースとして確保しておくべきです。

本当にいい外注業者は、社内担当者が外注起用を行う際、手伝ってくれるものです。

能力や実績やスキルを保有していることは当然の前提として、そういう、
「本当に使える、役に立つ、外注業者たる弁護士」
を選定し、リテインしておくべき、といえます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00678_「外注管理部署」としての法務部の意義・価値・積極的役割

外注は恥ではないし、役に立ちます。

むしろ、 能力も経験もないのに、
「オレは法務部だ。だから、法的なことは任せろ。オレがこのリスクを社内担当者として、責任を以て管理・制御し、会社の安全保障を全してやる!」
「この課題は法律に関することで、しかも、自分は法務部なのに、外部の弁護士に外注してしまうと、自分の存在価値がなくなってしまう。『弁護士がいて、法的なことをお願いするだけだったら、法務とかいらねえじゃん』とか言われたら、どうしよう。反論できないし。だから、なんとか自分も法的なことをやらないと」
という考えは非常に危険です。

能力も経験もない素人が、専門家の領域に介入すると、大惨事を招きます。

そんな危険で無謀なことをしなくても、
「外注管理部署」
としての法務部の積極的役割や活躍の領域はきちんと存在します。

とはいえ、
「法務の外注管理」
って何?

きちっと弁護士のきちっとした仕事を横目でボーっと眺めているだけなんでしょ・・・・・と言われそうかもしれません。

すなわち、
企業内に生じた法務に関する対応課題を、法務サービスを担う法務部がしないで、社外の弁護士に外注するんだったら、法務部は何もやらなくていいのでしょうか?
「弁護士がいて、法的なことをお願いするだけだったら、法務とかいらねえじゃん」という批判に対して、どのように存在価値を示したらいいのでしょうか?
やはり、無理をしてでも、弁護士の向こうを張って、弁護士に負けない法務サービスを自力でやり遂げるべく、頑張ったほうがいいのでしょうか?
と様々な疑問が浮上します。

外注管理部署として、外注管理部署でなければできない役割というものもあります。

外注一般と、外注管理一般について考えてみましょう。

例えば、ニーズの把握や、ニーズの具体化、予算や納期の策定、発注仕様の確定・特定と、発注先の選定、それに発注後の完成・納品・検収までのフォローアップ、発注トラブルが生じた場合(予算の超過、品質割れ、納期割)における対応(クレームを言うなど、受注先とのケンカ)は、重要な外注管理実務であり、外注管理部署しかできない、極めて価値ある、積極的役割のある業務です。

以上は、通常の外注管理や下請管理で生じることですが、法務サービスの外注でもまったく同じことです。

おそらく、
「弁護士がいて、法的なことをお願いするだけだったら、法務とかいらねえじゃん」
という(無知に基づく)批判が生じる背景には、弁護士というものに対する盲信があります。

・弁護士は、どこに頼んでも同じ、
・弁護士が提供するサービスは、価格交渉が働かないし、言われるがまま払うほかない、
・弁護士が提供するサービスは、常にかつ当然に、完全かつ完璧で、特に、管理しなくても、納期内に、スペックを満たす品質のものが提供されるはずだ、
・というより、そもそも弁護士が提供するサービスには、スペックやコストといった仕様に関する自由度はなく、弁護士が提供した最終成果物が、求められる仕様であり、クライアント「風情」が、「このコストでこの仕様で」などという素人意見をいうなどといったおこがましいことを言うべきではない、
など。

たしかに、もしそうなら、
外注「管理」
という概念自体が成立しませんし、弁護士に丸投げして頼んでおけば、正しいコストで、正しい品質のものが、正しい納期で納品されるので、
「観念の余地がなく、そもそも成立しえない外注管理サービス」
を担うセクションとしての法務部は、単なる間抜けな穀潰し、ということになります。

しかし、きちんとした法務部を整え、法務安全保障サービス調達を合理化する先端企業においては、

・弁護士サービスには、レベル差や能力差や価格差が歴然と存在し、選択が介入する余地が広汎に存在する、
・弁護士が提供するサービスは、価格交渉をすべきであり、言われるがまま払っていると、経済合理性を喪失する、
・弁護士が提供するサービスは、常にかつ当然に、完全かつ完璧というわけじゃない。「自分が弁護士でもなく、自分では弁護士サービスを提供できなくとも、弁護士のサービスのことがわかる」という程度の知識やセンスがある法務の人間として、きちんと外注管理(納期管理、品質管理、予算管理、使い勝手管理)をしてはじめて、納期内に、予算範囲内で、正しいスペックを満たす品質のものが提供されるが、管理をしないと、調達に失敗する、
・というより、そもそも弁護士が提供するサービス自体、スペックやコストといった仕様は広汎な選択と自由があり、きちんと予算や仕様や納期を確定し、発注者として責任をもって「このコストでこの仕様でこの納期で」と厳しく伝えておかないと、調達が達成されない

という前提認識の下、法務部が、社内外注管理部署として、しっかりとその役割を認識し、価値ある社内サービスとしての、外注管理活動を展開しています。

特に、リスクすなわち法務ニーズの発見・特定は、最も重要であり、社内の法務サービス部署としての法務部が、その役割を発揮する活動です。

法務や安全保障を担わない、他の企業活動に従事する社員も役員も、自分たちの活動にリスクがあっても気づきません。

楽観バイアスや正常性バイアスによる
「自分の活動に疑問を抱かないし、抱くべきではない」
という思考の偏向的習性が生来的に備わっていますし、計画の効率的実現が職責・役割であるため、疑問を抱かず、後ろを振り返らず、目の前の事業活動をより早く、より効率的に、より手間をかけずに、前へ前と前進させることに集中・没頭することが求められるからです。

したがって、日常の企業活動の法務安全保障上のリスクにいち早く気付けるのは、唯一法務部だけです。

そして、そのために、法務担当者は、楽観バイアスや正常性バイアスを克服し、
・ 常に、不安になり
・ 常に、危険を感じ
・ 危険を感じたら、危険を発見し、具体化・特定化する
という役割を遂行するのです。

早期に具体化・特定化された危険は、もはや安全保障上の脅威ではありません。

どんな危険であれ、早期に具体化・特定化され、かつ、適切な対応力あるプロを探し出し、当該プロに対してしかるべき外注管理を働かせ、危険がなくなるか、無視できるほど小さくなるまで、働きかけを続ければ、
「大事は小事に、小事は無事に」
なり、制御ないし何らかの対応が可能だからです。

このように観察すれば、法務部は、法務サービス発注起点を探し出し、当該法務サービスの仕様や納期やコストを算定し、当該スペックのサービスを提供できる能力のある受注先(弁護士)を探し出し、競争調達の上、発注し、発注後もきちんと納品されるまで外注管理(納期管理、予算管理、品質管理、使い勝手管理)を行い、ときに、スペック未達や納期割れした場合に、サービス提供者たる弁護士とケンカをしたり、発注先を変更したりすることが求められるのであり、
「弁護士がいて、法的なことをお願いするだけだったら、法務とかいらねえじゃん」
という批判は的外れどころか、本来の法務部の役割や意義や価値を理解していない暴言ともいえます。

いずれにせよ、外注管理部署としての法務部が、
「無能な穀潰しの、あってもなくてもいい、間接部門」
となってしまうのか、
「極めて価値と意義のある社内法務サービスを担う重要部署」
となるのかは、外注管理というサービス機能をどのように積極的意義を認識し、その意義を盛り込むか、にかかってきます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00677_企業法務ケーススタディ(No.0226):海外進出! それ意味あるの?

本ケーススタディの詳細は、日経BizGate誌上に連載しました 経営トップのための”法律オンチ”脱却講座 シリーズのケース33:海外進出!それ意味あるの?をご覧ください。

相談者プロフィール:
ムロツ・クリエイト株式会社 代表取締役社長 室津義男(むろつ よしお、41歳)

相談概要:
海外でジョイントベンチャー事業展開を計画する相談者は、アジア諸国にて、相手方51%こちらが49%出資して現地法人をつくります。
出資金を用意し販売品を現地にもっていかなければなりませんが、弁護士も会計士も現地パートナーが用意してくれ、国際的企業に大変身できるとあって、相談者は大いに乗り気です。
以上の詳細は、ケース33:海外進出!それ意味あるの?【事例紹介編】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1: 日本企業、海外進出の下手っぷり
かつては
「中国進出ブーム」
が日本の産業界を席捲し、数多くの中堅中小企業が中国に進出しましたが、状況は一変し、もっともホットな経営テーマは
「中国進出企業の撤退の実務」
になりました。
以上の詳細は、ケース33:海外進出!それ意味あるの?【日本企業、海外進出の下手っぷり】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:あいまいな目的、海外進出への幻想
営利追求をメーンミッションとする組織である企業の目的設定・経営判断の方向性としては、
1)カネを増やす
2)出ていくカネを減らす
3)時間を節約する
4)手間・労力を節約する
のいずれかに収斂(しゅうれん)するはずです。
とはいえ、現実的には、
5)イイカッコをする、世間体や体面を保つ、プライドを充足する、意地を張る、見栄を張る
という
「経済的には説明できない、合理的理解を超えた」
ものも存在します。
「ブームに舞い上がって中国進出した経営者」

「短期間に赤字を積み上げ撤退を決定したが、出口戦略をまともに描いていなかったため撤退すらままならない」
現状に直面しているのは、意地やプライドや主観的満足充足のため、頭脳が混乱した状態で進出した、という蓋然性が高いと思われます。
以上の詳細は、ケース33:海外進出!それ意味あるの?【あいまいな目的、海外進出への幻想】その1ケース33:海外進出!それ意味あるの?【あいまいな目的、海外進出への幻想】その2をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点3: 海外進出自体を自己目的化させない
進出当事国の所得レベルを考えれば、飛ぶように売れたとしても利幅は小さく、投資を回収するのに長い時間を要しそうであり、その間に、飽きられたりするリスクも想定されるところです。
以上の詳細は、ケース33:海外進出!それ意味あるの?【海外進出自体を自己目的化させない】をご覧ください。

モデル助言:
「すべての商品は、またたくまにコモディティー化する」
という命題すら成り立つのが商売の世界の常識というなか、進出先のパートナーが、それほど御社製品を
「売れる」
「イケる」
「あたる」
と太鼓判を押すのなら、
「売ってやるから、日本円をもって、我が国まで、我が社製品を取りに来い。港で受け渡しだ。あとは、そっちで、がんばって売れ」
というスタンスでもいいわけです。
その上で、
「日本で作った原価の高い商品に運賃を上乗せし、他人に任せて売る」
よりも、
「自分たちで現地生産し、その儲けを分捕った方が、より大きく儲かることがもはや確実である」
と判断してから、現地へ本格進出することを考えてもいいのではないですか?
以上の詳細は、ケース33:海外進出!それ意味あるの?【今回の経営者・室津社長への処方箋】をご覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00676_交渉において「条件を先に言い出す」ことの致命的有害性

カネや財産や権利や地位について、殺し合いをおっぱじめかねないくらい対立している状況で、交渉の担当者となって、いきなり、相手に対して具体的な和解条件を提示する方がいます。

さらには、当該和解条件提示に際して、
・万が一、訴訟になれば無駄にカネや時間や労力を費消するから、
などと妥協根拠までバカ正直というか馬鹿丁寧に示したりする方もいます。

「交渉において、初手で、こちらから条件を提示する」
という行為は、もっともやってはいけない、愚かで未熟な手法です。

こちらが提示した条件が、
・相手の想定条件よりよい条件であったら、相手に望外のアドバンテージを与えますし、
・相手の想定条件より悪い条件であったら、「相手は手の内を見せずに峻拒し、次の闘争フェーズに移行させ、闘争の末、次の交渉フェーズにおいて、こちらの条件を起点(アンカリング)に、さらにこちら側に譲歩を迫り、より有利に交渉を進めることができる」というアドバンテージを与えます
ので、いずれにしても有害無益です。

相手がこんな壊滅的なアホであれば、私が相手方交渉担当者なら、相手から出してきた条件がどんなものであっても、初手の提示条件は拒絶するとともに、相手が妥協したがっている(本格闘争を遂行するだけの動員資源に不足しており、弱腰になって、泣き言ほざいて早期妥結にすがりついている)状況を最大限利用し、ブラフとして本格闘争開始(訴訟移行)を宣言します。

「相手が、闘争を開始続行するだけの資源に不足しており、闘争遂行をあからさまに忌避している」
という弱点を晒してくれているわけですから、相手の弱点や傷口は徹底的に攻撃するに決まってます。

相手の傷口をみつけたら、そこに、塩をふりかけ、わさびや辛子やハバネロを塗り込み、最後にレモンを絞りかけるのが普通でしょう。

また、相手が早期妥協への希望や渇望を見せてくれたら、絶望させない程度の希望をちらちらみせつつ、際限なき妥協をさせるべく、闘争カードをちらつかせながら、いつ終わるかわからない交渉を、疲弊してギブアップするまで継続させてもいいでしょう。

それが、交渉というものです。

話は変わりますが、歴史上、もっとも、愚劣で危機管理意識の欠如した人物として、私が心底侮蔑するのは、515事件で暗殺された、犬養毅首相です。

集団で自分を暗殺しにやってきた武装した青年将校が近づいたとき、逃げるわけでも、隠れるわけでもなく、抵抗するわけでもなく、武装するわけでもなく、
「多分、相手も、バカではないし、常識は通じるだろうし、そんなにやばいヤツではないから、まあ、話したら、理解して、帰ってくれるだろう」
と安易に考え、本気で殺すつもりだった場合の備えについてはノープランで、
「話せばわかる」
と切り出しました。

その結果、
「問答無用!」
の一言で、銃殺されました。

無論、それ以前に、軍備拡張する青年将校を免官するプロジェクトを準備を整え、電光石火のごとく、断固たる形で、果断に行うべきところ、
「俺、あいつら、気に食わないから、今度、解雇してやるんだ~」
と、身内(その中には、青年将校のシンパもいる)にべらべらしゃべる、という危機管理意識の致命的欠如っぷりも、
「この話を聞いた相手がどう出るか」
という想像力も欠如した、愚劣極まりない幼稚な行動に出ています。

「濱口雄幸首相襲撃事件が前年に起きているにもかかわらず、犬養は、その後も、警備手薄の状況で、のほほんとしていた」
というところですでにダメだったのですが、最後の最後まで、このリーダーは、善意の塊がゆえの、危機管理者としては超絶に無能の人物だったんだと思います。

我々、法的危機管理や法務安全保障の専門家としての弁護士の経験則としても大いに納得する、至言ともいうべき、行動選択や意思決定に関する格言があります。

「(選択に)迷ったら、苦しい方を選べ」
というものです。

すなわち、
「いくつか選択肢があるときは、より、(経済的、資源消耗的、精神的)負荷がかかり、目先、苦しさが訪れて、準備と段取りに手間取り、時間とエネルギーを消耗するような、そんな選択肢が、最善解に至る可能性が高い」
という経験上の蓋然性です。

逆に、迷った時に、簡単な方、楽な方、安直な方、手っ取り早い方、フィーリング的にフィットする方、自分の常識(という、偏見、思考上の偏向的習性)に適う方を選んだら、たいてい、泥沼にはまりこみ、あとで後悔する、ということも意味します。

特に、精神的負荷の楽な方を選んで失敗する、という例は、私の小さな経験上、よく見聞します。

具体的には、
「人間の善意」
「相手の思考における合理性に対する信頼」
を認識の根源的前提に置き、相手の善意や合理性に依拠して、
「相手が悪意で、期待と真逆の態度に出た場合の備え」
をすることなく、漫然と、安直に、軽い気持ちで、丸腰で、初手を打って、
「相手が悪意で、期待と真逆の態度」に出る、
という憂き目に遭い、そこで詰んでしまう、という状況です。

まさしく犬養の失敗そのものです。

そして、
早期妥結が相互互恵の最善の結末という予定調和と勝手に夢想し、
相手の善意と理性を一方的に期待し、
交渉の初手で、具体的条件を示したり、さらには、闘争忌避を明示あるいは黙示に表明するなどという愚行をしでかす交渉担当者の失敗の根源も同様のものです。

交渉において、妥協内容を含む和解条件の提示するのは、1年かかろうが、10年かかろうが、100年かかろうが、絶対こちらからは切り出しません。

北方領土の返還交渉において、ロシア側は、10年たとうが、50年たとうが、妥協した条件を全く示すことがないのは、まさしくこういう戦略的理性に基づく合理的態度決定の帰結なのです。

民事紛争・商事紛争においても、しびれを切らして条件を出し始めた側が交渉が不利に陥りますので、訴訟が始まり、裁判官が
「このくらいの金額で和解されたらどうでしょう」
という声が聞こえるまで、貝殻のように沈黙を守り通すのが、最も戦理にかなった態度といえます。

無論、支払うべき義務が明らかで、裁判になれば早晩不利な判決が出て、遅延損害金等を支払わされたりして、時間の流れがこちらに悪意に作用するような場合は別です。

しかし、そのような場合であっても、究極的には、供託するなり、債務不存在確認訴訟提起によって、こちらがイニシアチブを握って紛争フェーズを変えることもできなくはありません。

いずれにせよ、相手の理性や善意に漫然と依拠して、思考やメンタリティに負荷をかけずに、キモチがラクになるような方法選択は、プロとして取るべき態度ではありません(クライアントやプロジェクトオーナーが、不利を十分承知で、招来される悪しき結果に対する免責を明確に了解して、そのような愚策履践を求めるなら別ですが)。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

00675_企業法務ケーススタディ(No.0225):法務部って何するところ? 必要なの?

本ケーススタディの詳細は、日経BizGate誌上に連載しました 経営トップのための”法律オンチ”脱却講座 シリーズのケース32:法務部って何するところ? 必要なの?をご覧ください。

相談者プロフィール:
斎藤工業株式会社 代表取締役社長 斎藤 拓司(さいとう たくし、35歳)

相談概要:
未上場の会社を継承して1年の相談者は、メインバンクから派遣された取締役に、コンプライアンス的に問題だから法務部を立ち上げるように、と繰り返しいわれています。
しかし、法律関係事案は先代を踏襲し、顧問弁護士に教えを請いつつ総務の若手に担当させ運用していて何の問題もありません。
法務部は絶対に必要なのでしょうか? 
以上の詳細は、ケース32:法務部って何するところ? 必要なの?【事例紹介編】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:あってもなくてもいい組織なのか
法務部は法令上設置を強制されているものではありません。
法務部があるからといって、
社内では法律に詳しい法務部とはいうものの、
「多数の臨床例を基礎に日々豊富な経験値とスキルを蓄積する独立の外部専門家集団である法律事務所」
との比較においては、中途半端な素人集団にすぎず、絶対的危機を切り抜ける知恵やスキルがあるわけでもありません。
以上の詳細は、ケース32:法務部って何するところ? 必要なの?【あってもなくてもいい組織なのか】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:法務部の本質とは
企業が永遠に継続するため(ゴーイング・コンサーン)には
(1)経営資源を効果的に運用して事業を合理的に展開し、効率的に富を蓄積することと
(2)企業内外の敵対勢力(仮想敵を含む)や有害分子から企業を防衛し、安全を確保すること
が必要になります。
そして、組織として、
(1)富の蓄積には
(1A)営業部隊(実働部隊)
(1B)経理・財務部隊(後方支援部隊)
(2)安全保障には
(2A)外部専門家組織(実働傭兵集団)
(2B)企業内法務部(後方支援部隊)
が構成されることとなります。
法務部は、企業の安全保障を担う部署であり、平時において有事を想定しながら、
「大事が小事に、小事が無事に」
なるよう、文書作成や記録管理を中核としたルーティンを担当する組織、ということになります。
以上の詳細は、ケース32:法務部って何するところ? 必要なの?【法務部の本質とは】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点3: 「有事」の蓋然性、ダメージ、コスト
企業における有事を想定するイマジネーションを強化し、外部専門家(顧問弁護士)と良好な関係を構築して後方支援の実を上げることと、有事の際にモノをいう
「文書」
「記録」
を丹念に整備することこそが、法務部の活動として求められる本質的要素といえます。
企業における
「富の蓄積」
という活動については、売上を上限として投入コストが導けます(売上を上回るコストを費やしたら企業組織は持続不能に陥ります)が、安全保障コストはこの種の
「経済的合理性による制約」
が働きにくく、過大にならないように注意が必要です。
以上の詳細は、ケース32:法務部って何するところ? 必要なの?【「有事」の蓋然性、ダメージ、コスト】をご覧ください。

モデル助言:
銀行が、法務体制に致命的欠陥があるといったわけでも、融資を継続するための必須前提として強制しているわけでも、ないのなら、銀行派遣の役員がいうことは120%無視して結構です。
以上の詳細は、ケース32:法務部って何するところ? 必要なの?【今回の経営者・斎藤社長への処方箋】をご覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所